第78話 知羽ちゃんの所に向かう途中(空の上より)(優 視点)

 心、姿で助けに行く。




 それで役に立てるのだろうか?


 ちゃんと知羽ちゃんの事が守れるのかな?



 目の前に居て、助けられない、っていうのだけは避けたい。




 ムクさんが慌てているから更に心配だ。





 俺は知羽ちゃんが心配な気持ちをどうにか落ち着かせる為、ムクさんの後ろから着いて行く様に飛びながら、違う事を考えて、気を紛らわせ様としていた。






 心という事は魂なんだよな?


 生き霊みたいなものだろうか?

 いや、またそれとは違うのかな?






 俺はムクさんの斜め後ろを飛んでいる、隣の優さんを見た。






 こうして、客観的にこの世界の俺を見るのも

 また複雑だな。



 以外に落ち着いているな。


 と言うか、少し、嬉しそうにも見えるな。

 怖くないんだろうか?



 結構美人だよな......。

 髪も、長いよな。


 髪の毛の綺麗さは知羽ちゃんと良い勝負だな。

 知羽ちゃんの髪の毛の方が細そうだけどな。


 スタイルはまあ、女性にしたらモデル体系だよな......。

 小学6年の女子にしたらかなり背が高い方だものな。




 まあ俺はナルシストじゃないから見惚れるとか、好みとかではない。







 それよりも知羽ちゃんのそそっかしい所を見る方が可愛いと思うし、ほっとけないとも思う。



 考えたらまた心配になってきた。


 知羽ちゃん。



 大丈夫だろうか?



 


 落ち着こう。



 ドクドクドクドク。


 自分の胸に手を当てると、かなり心臓の音が早くなっているのが分かる。







 知羽ちゃん、無事で居てくれよ......。





 俺は知羽ちゃんの事が心配で、取り乱しそうだった気持ちをなんとか抑えた。







 息を整え、気持ちを落ち着かせ様と周りを見渡した。



 







 今、表面的に見たら、ムクさん、優さん、可奈子さん、可奈子さんの守護霊さん。整った顔の女性達に囲まれて空を移動しているんだよな。


 しかも、皆それぞれ個性的で、全然タイプが違う。



 クラスの友達に文句を言われそうだ。



 特に波留なんか、うるさそうだ。





 そうそう、この世界の波留は女の子なんだよな。



 なんか、それも、複雑だよな。


 


 



 この女の子、可奈子さんって言ってたっけ?




 俺は同い年くらいの子供の守護霊に抱き抱えられている女の子をチラ見した。


 可奈子さんは眉間に皺を寄せている。


 眉の太さが意志の強さを主張している様にもみえる。





 俺......なんだか、気が強そうな女の子って苦手なんだよな。




 


 そんな事を思っていたら可奈子さんの眉がピクピクと動いた。




 そして数回瞬きした後、目が覚めたのか目を大きく見開き、声にならない悲鳴を上げた。




 俺は苦手意識から優さんの方に寄り、可奈子さん達から距離を取った。




「な、何、ココ! 何処?! お、落ちる! ゆ、夢にしたら風も凄いし、スピード感が、わ、私、高所恐怖症なのよ! お、落ちる!」



 目を覚ました可奈子さんの魂、心が、騒ぎ出し、自分を抱えている女の子にしがみついた。




「可奈子ちゃん、大丈夫デシか?」


 可奈子さんを抱えている守護霊らしき女の子も目を覚ました可奈子さんの心(魂)をおちつかせようと慌てている。



 えっ?


 守護霊さん、喋った。



 喋るんだ?



 えらい、個性的な喋り方だな。


 可奈子さんは守護霊さんにしがみつきながら、慌てそうになっていたが、自分を抱えてくれている存在を見て、また、かなり驚いている様だった。



 口をパクパクと開いたり閉じたりを繰り返し、もう一度、守護霊さんの存在を確かめるかの様に、しがみついている手を震わしている様だった。



 可奈子さんは、かなり動揺している様に見えた。


 まあ俺も初めて空を飛んだとき(この表現で合っているのか分からないが)かなりびっくりしたものな。



 だけど、あの可奈子さんの反応、また、それとも違う気がする。


 可奈子さん、ちょっと泣きそうな顔をしているな。



 怖いからと言うよりも、いや、まあそれもあるだろうが、守護霊さんを見ている顔つきが、会えていなかった人物との再会に動揺を隠せない。そんな表情の様にも見える。



 可奈子さん、もしかして、守護霊さんの事、知っているのかな?



 そんな様な表情だった。


 



 







 

 

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