第71話 もしかして、チャンス到来?!(手紙の女の子、可奈子 視点)

 

 キャー、間近に笹山さんがいる。

 私は、自分の身体がどんどん熱くなっていくのが分かった。



 私の名前は可奈子。


 見た目はちょっと我儘そうに見えるって?


 まあ、確かに、そうかもね。


 友達は一応、いるのよ?

 二人、だけだけど......。



 一人は悪友みたいな感じ。

 ライバルって言うの?

 もう一人は幼なじみの男の子。

 男の子なのに、弱虫でウジウジしているの。

 私の他は友達が居ないみたい。

 名前は耕一って言うんだけど、大事そうに持っていた写真があって、多分あれは何年か前の文化祭の写真かな?



 どうやって手に入れたのか、美少女の写真を持っていたのよね。


 私はなんだか面白くなくて、調べ回ったの。


 有名人だった彼女はすぐに見つかったわ。

 でも調べている内になんだか、可愛いなーって思う様になっちゃって......。




 女の子だぞ?


 私、大丈夫?



 いや、いや、憧れているだけだから、違うから。


 思えば思うほど、目が離せなくて。


 







 いやん! 笹山さん。何か、さっき男らしくて格好良かった。


 髪の毛サラサラしてる。

 この前、手紙を渡した時は緊張してちゃんと顔が見れなかったのよね。



 私のまだまだ成長前の可愛らしい胸が、張り裂けんばかりにときめいているわ。


 笹山さんの細くて長い指が私の唇に......。


 イヤン。


 恥ずかしい。



 今までは、影から見ていたの。

 耕一に協力してあげるなんて言いながら。




 笹山さんは周りにはいつも、笹山さんと仲良くしている友達が、居るようだったから......。



 手紙は、何度も何度も書き直したの。



 幼なじみの友達にって書いたのは、ちょっと、笹山さんとその幼なじみの松川君? が仲良しさん過ぎて、何だか悔しくて。

 拗らせたかったっていうか......。

 上手く言えないけど、理由はなんでも良かったの。


 耕一と笹山さんが......。なんて、絶対無いと思ったし。


 憧れていた笹山さん。



 ちょっとでも近くに行きたかった。



 自分と、私と友達になって欲しい。


 そう素直に言えなかった。







 あれ?


 笹山さん、大丈夫?


 笹山さんが、前のめりに傾いたものだから私は慌てて支えようとしたけど、笹山さんは少し、しんどそうに苦笑いしながら体制を整えて、じっと私を見た。



 儚げな感じ、大きな目が潤んだ感じ。



 か、可愛すぎる。



「ゴメン、びっくりさせたね」



 そう言いながら笹山さんは優しく笑った。


 顔色はやはりあまり良くない。



 心配しなくちゃいけないのに、可愛すぎてドギマギしてしまう。



「ちょっと、体調崩しちゃってさ。早退する所なんだ。今、授業中だし、他の人達に気づかれたくなくてさ......。ゴメンね? びっくりしたよね?」



 自分がシンドイ時なのに、私の事まで気遣うなんて、優しすぎる! 


 何としても、笹山さんの友達に、隣にいる存在になりたい!


 なってみせるわ。



 っていうか、これって大チャンスじゃない?



 私は心底心配しているように表情を作った。

 断られないように隙を作らない様に。


「笹山さん、良かったら私、家まで送って行きます」



 そう、一気に言った。



 ドキドキ、心臓がなる。


 脈も早い。身体も熱い。


 困った様な笹山さんの顔、ちょっと赤い頬、可愛い。




 絶対、このチャンス、逃さない。



 逃さないわ!



 





 

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