第67話 ブチちゃん 問題の真相?
ニャンコちゃん。
耳の所だけが黒い、丸く太っていて、目の色は緑の白猫は変わらず門構えの上でキョロキョロと、周りを見渡していました。
今にも走り出そうと助走をつけている様に見えます。
妖精さんがニャンコちゃんの元に慌てて駆け寄りながら声をかけました。
『ブチ、探したわよ。......はぁー、はぁー、ここ、車多いし、ブチも気をつけないと危ないんだからね? それで、何か分かった? 茶子婆ちゃん。見つかった? もう、なんで良くない事って重なるの? 私に、力が有れば......。でも、ブチ。妖精や守護霊様の世界でちょっと噂になっている人を連れて来たから』
息を切らしながら妖精さんがニャンコちゃんに言っています。
ん?!
今、妖精さんの口からすごい言葉が出ませんでしたか?
このニャンコちゃんはブチちゃんで、良かったようです。
ブチちゃんに妖精さん、普通に話しかけている様ですが、まさか、ブチちゃんも妖精さんが見えるのですか?
なんとなく、私と一緒にいるチビがこちらを向いて首を傾げてる様に感じました。
[知羽ちゃんには見えないの? 僕も前から見えたワン。あのちっちゃくてキラキラしたの。そこらココらに飛んでるワン]
ブンブン尻尾を振る音と、ハアハアという息遣いが聞こえます。
チビ、得意げですね。
チビは前々からもしかして、そんなスキルがあったのですか?
ブチちゃんが妖精さんにニャーニャと何か答えていますが、私に猫語は分かりません。
色々な事が出来そうな知羽君も流石に猫語は分からないでしょう。
チビ、出番ですよ?
[ワンッ、分かったワン。嬉しいワン]
とチビが答え、チビのブンブン尻尾と、大きな耳がピクピク揺れたのが分かりました。
[茶子婆ちゃんは、ええと、ゴメンなさいワン。知羽ちゃんと喋っていて何と言っているか、分からなかったワン]
声の感じから、お役に立てなかったとチビがしょげてる様に感じた。
チビ、良いのよ。
次は宜しくね?
チビのメンタルはすぐに回復したようで、尻尾をブンブンに振っている感じが分かった。
「こちらにも分かる様に話して貰っても良いか? 君がブチちゃん? それて、今更だけど、アナタのお名前、聞いて良いかな?」
知羽君が妖精さんに話しかけました。
知羽君は優さんから離れるとかなりしっかりして見える気がする。
優さんの前だと、かなり能天気なおバカキャラに見えた気がしたのだけど......。
【かなり酷い、言いようだな。ちょっと気を散らせないでよ。後で、ゆっくり話そう? 今は妖精さんやブチちゃんの話を聞かなくちゃ、なんだから】
知羽君の心の声を聞き、私自身、冷や汗が出てきた気がした。
そうだった。
私の声も知羽君に丸聞こえなのに......。
『あっ、自己紹介もせず、行きなり連れてきちゃってごめんなさい。私の名前は『レル』。
私、妖精なんだけど、未熟で、まだちゃんとした魔法を使う事ができないの。
このブチ、この猫ちゃんの家に居候をしているのだけど、ちょっとした事から大事になってしまって。
簡単に言うと、ブチの家の茶子婆ちゃんが居なくなってしまったの。
あっ、ちなみに茶子婆ちゃんは人間よ』
おばあちゃんが居なくなってしまったのですか?
そ、それは大変です!
私は小さな頃しか、自分のおばあちゃんにあった事がありませんが、とても優しくて、温かかった事を覚えています。
おばあちゃんのお膝に自分の頭を置いて、優しい声の、おばあちゃんが作った物語を聞くのが大好きでした。
今でも、その物語を覚えています。
本当に小さな頃で、たまにしか行った事がないのですが、大事な大事な思い出です。
おばあちゃん、記憶にちょっとしかないですが、歩く速さはお母さん達などの他の人達と違ってかなりのんびりだったと思います。
私のおばあちゃんは守ってくれる大きな存在、そんなイメージだったけど、だけど、家の近くに住む武夫じいちゃん、この世界では元気そうに見えましたが、私の世界では、弱々しく、歩き方もぎこちなかったです。
茶子おばあちゃんは、どんな方なのでしょうか?
ちゃんと、しっかり歩けるのでしょうか?
居なくなったとはどういう事なんでしょう?
私に、知羽君にいったい何ができるというのでしょう?
と、とにかく急がなくては!
茶子おばあちゃん、と私が勝手に呼んで良いか分かりませんが......。
お願いです。無事で居てください!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます