第65話 妖精界の落ちこぼれ (妖精レル 視点)

 


 初めまして。



 名前はレルと言います。




 私は私を、なんと説明したら良いでしょうか?




 私は人や動物達を守る守護霊様達をサポートするお仕事をしています。




 

 嘘を言いました。

 本当は、私はまだお仕事はしていません。





 話せば長くなるのですが、まずは身近な守護霊のお仕事の説明をいたします。




 守護霊様は基本的に、人物数人を守ります。


 何人まで守れるか、それはその方達の能力によります。

 



 私達、妖精とか精霊とか言われているのですが、

私達が守るモノは基本的に自然。


 木々や植物、海、川、山などです。


 その合間に守護霊様のお手伝いをするのですが......。




 だけどですね......。




 私は仲間達より魔法を覚える速度が遅くて、落ちこぼれでした。






 私達、妖精は魔法でこの星を、自然を守るお手伝いをしています。





 気候や星々の様々な調整は基本神様方がされているのですが、私達は神様方の目が行き届かない所の修正を行なったりします。



 守護霊様のお手伝いをすると言うのも、私達は直接助けるのではありません。

 

 私達が受け持つのは、私達が担当する数人の『夢や希望』に対する部分を受け持ちます。



 だけど、私は落ちこぼれすぎて、まだその数人の担当の方自体、持たせて頂いて無かったのです。







 妖精のお仕事も中々忙しく、魔法がちゃんと使えない私が、そのまま仕事に着くと、『対象者』や『対象物』、『対象場所』に迷惑がかかると言うのが理由です。







 なので、私はある程度の魔法を使える様になるまで任務に就く事ができませんでした。



 だけど、任務につけないと言っても、私の周りにいた姉様や、上司、皆、優しくて、私を放っておいたりはしませんでした。



 私の能力を高める為、ある守護霊様の元に修行に行かせて下さいました。



 その守護霊様から言われた事は、守護霊様が受けもっている数人の内の一人、その家にお邪魔し、その家の淀みや気の濁りを掃除する事でした。



 その家の隅には、黒く濁っているモノが少しだけですが、ありました。



 その家は五人の人物と一匹の猫と言う動物が住んでいました。





 私とその猫、ブチとはそこで出会ったのです。





 私は、始め、その家でどう振る舞ってよいのか分からず、オロオロしていました。



 もちろん家の方達は私の事は見えません。


 守護霊様も、家の方達の担当がそれぞれ違ったりもするので家の中では守護霊様、数体が、行き来します。



 守護霊様と守護対象者はその人達それぞれの良い距離感と言うのがあるので、ずっと守護対象者の側にいない方もいます。



 だいたい、数人を守っている方達が多いので忙しそうです。


 働いている守護霊様を見て、また時折現れる、守護霊様達をサポートしている他の妖精さん達を見て私は疎外感を覚えていました。



 



 私は始め、その黒い影の様なモノを排除しようと頑張りましたが、力が、能力が、少ない私はまだそれさえも難しかったです。



 



 私は拗ねて、床でへばっていました。


 自慢の金髪の髪もフワフワした可愛いピンクのワンピも、能力がなければ何も役にはたちません。




 そんな私に恐る恐る近づいてきて、クンクンと匂いを嗅いでいたのが、耳の所だけが黒い、丸く太っていて、目の色は緑の白猫。



 ブチでした。

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