第62話 キラキラした、ちっちゃい妖精? 

 知羽君は、屋上に繋がる扉の前、その横の壁に寄りかかったまま、私の話を聞いてくれています。


 知羽君は優しいです。


 本当に私でしょうか?


 

 知羽君と色々な話や、ちょっとした世間話もしました。

 私が男の子と普通に話せています。



 全然、緊張しません。


 話したい言葉も次々出てきます。


 やはり私だからでしょうか?



 すっかり話し込んでしまいました。







 その時です。






 知羽君(私)の目の前を小さな光の様なモノがチカチカと光ながら飛んできました。



 



 な、何?




 ここでもまた、不思議な事があるの?





 私は目を凝らしてその光を見ました。




 よく見てみると、その光は物語の中で出てくる様な妖精? の様な見た目をしていました。





 サイズは掌サイズです。


 金色の長い髪、透け感のあるフワフワのピンクのワンピ。

 背中には可愛らしい透明な羽が生えています。


 物語の妖精が飛び出してきたような、とてもキュートな見た目です。




 か、可愛い。



 お姫様みたい。




『知羽君? アナタが知羽君ですか? 私の大事な大事なお友達が大変なの。アナタは私が見える? 本当に見えるの? お願い助けて』



 妖精さんの声は、アニメキャラの様に高く、でも心地よく可愛い声でした。



 そんな可愛い声ですが、何か緊迫しています。


 どうしたのでしょうか?



 知羽君は周りをキョロキョロと見渡しました。


 私達と可愛い妖精さん以外、誰もいません。


 知羽君と(私と)妖精さんの視線が合いました。


 妖精さんは、恐る恐る知羽君(私)に近づき、目の前まで飛んできます。



 目の前までくると妖精さんのお顔がよく見えます。 



 か、可愛い。

 ちっちゃい。


 妖精さんの周りをホワホワした光が包んでいる様に感じます。


 その光の効果もあり、妖精さんがより可愛いく見えました。


 妖精さんを見て、知羽君(私)の頬が緩みました。


 私の頭に知羽君が優しく包む様に笑っている映像が浮かびました。



 鏡も見ていないのに、私はその人が知羽君だと分かりました。


 私は、私が知羽君自身だから知羽君の顔は鏡を見ないと見る事は無いと思っていたのに、見る事ができました。


 これも何かのパワーが働いたのでしょうか?


 珍しくマルちゃんは口を挟みません。


 チビも大人しいです。

 耳元でいつもの様に、少しハアハア言っているチビの声は聞こえていますが。



 知羽君の映像、優しい笑顔。

 顔の作りは、私にそっくりなんですけど、表情や自信にみちた雰囲気が格好良くて、私とは別人に見えました。




 私も、自信をもてれば、自分を好きになれれば格好良く見えるのかもしれない。


 そう思い、少しだけワクワクしました。




「どうしたの? 落ち着いて? 俺に何か出来るか分からないけど、ちゃんと話を聞くよ?」



 知羽君はいつもの明るい能天気な口調ではなく、ゆっくりと安心させる様な優しい口調でした。

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