第59話 心の中で誰かが喋ってる? (パラレルワールドの知羽君 視点)
俺の名前は松川 知羽。
小学六年生。
身長150cm。
だけど、まだまだ成長期。
これから、グングン伸びて、筋肉もつけて逞しくなる予定だ。
俺には、皆が羨む様なとても素敵な幼なじみがいる。
すごく美人で、優しくて、男の子からも女の子からも人気だ。
名前は優ちゃん。
優ちゃんは身体があまり強くない。
子供の頃は良く一緒に遊んだりした。
だけど、優ちゃんは身体が弱いから、外で駆け回ったりするのが難しくなったんだ。
だから、色々な所で拾った綺麗な落ち葉、珍しい色の石、色々なモノを優ちゃんにお土産に届けるのが俺の日課だった。
優ちゃんはいつもとても喜んでくれた。
嬉しくて、調子に乗って、毎日届けた。
だけど、俺達はもう、幼い子供じゃない。
優ちゃんは本当に喜んでいるか分からない。
優ちゃんは優しいから......。
一度だけ困った顔をされ、俺は、それからは届ける事を止めた。
だけど、そういうモノを探す事が日課になっていた俺は、誰も入らない様な細い路地、草が生い茂った空き地そういう所を探検する事が、趣味の様になっていた。
俺には人に言えない秘密があった。
始めは秘密にするつもりはなかった。
僕が見えているものが、皆には見えないなんて知らなかったんだ。
皆も、同じものが見えていると思っていたから。
何がきっかけだったんだろう?
三歳ぐらいだったかな?
初めて見た小さいフワフワ浮いたもの。
声も聞こえた。
始めは怖かった。
だって俺しか見えてないみたいだし、そう気がついてからは他の人には見えている事を言うのを止めた。
だけど、その小さいモノは優しかった。
その内、透明な人? まで見え出した。
中には顔をしかめている人もいた。
だけど、話を良く聞いてみると、そんなに悪い人? は居なかったし、いても他の透明な人? が助けてくれた。
優しい透明な人? の何人かは守護霊様だと、最近知った。
それぞれ、守護対象者がいるのだと。
優しい彼、彼女らの話を聞くのは楽しかったし、とても為になった。
俺がそういう不思議なモノが見え出したのにはきっかけがあったと思う。
だけど、ちょっと記憶が曖昧なんだ。
でも皆、そうだよね?
幼かった頃の事なんてそんなに詳しく覚えてないよね?
なんとなく頭に残っている映像はあった。
夢か何かで、見たものが頭に映像として残っている。
そんな感じだ。
その映像は、夜の空き地。
草がいっぱい生えていて、そこで僕は緑色にフワフワと光っている丸い玉を拾うんだ。
その映像を思い浮かべると、なんだか胸が切なくなって、温かくなるんだ。
俺は友達が多くいた。
皆、優しくて、友達思いだ。
俺は優ちゃんと過ごす毎日も好きだけど友達と過ごす毎日も好きだった。
その友達が困っていたら助けたいと思っていた。
そんな時は周りにいた、皆が見えないモノ達がアドバイスをくれた。
俺は多くのモノに助けて貰っている。
そんな時、また不思議な事が起こった。
今までも多くの不思議な体験をしてきたけど、またまた初体験だった。
知らない女の子が僕の中で喋っている。
朝からずっとだ。
知らない声が聞こえてくるのはいつもの事、気にしないでいた俺、だったんだけど.......。
今回、その女の子は俺の考えている事が聞こえている様な気がした。
学校の中に入っても話は続いていた。
幽霊?
僕は取り憑かれてしまったのかな?
そうも思った。
だけど、声のトーンや心の中で喋っている声を聞いていると、なんだか悪いヤツではない、そう思った。
他の人が周りにいたら、俺の中にいるものが、俺の前に出てこれないかも知れない。
俺は腹痛のフリをして教室を出た後、人気の無い場所まで歩いた。
誰もいない所は結局、屋上の扉の前だった。
俺は壁に寄りかかり、その喋り続けている女の子に話しかけた。
【お姉さん、俺の中で、さっきから喋っている、お姉さんは誰ですか? なんだかしんどそうですね?
貴方は幽霊ですか?】
俺の心の声、聞こえて無かったのかな?
俺の中で喋っていた女の子が答えないので、もう一度俺は問いかけてみた。
【お姉さん、幽霊? どうしたの? 成仏できないの? 俺に何か出来る事ある? 】
『違います。私は幽霊?
ではないと思います。
でもどう説明したら良いのでしょうか。
知羽君、こんにちは、初めまして。
驚かせてしまって、ごめんなさい。』
そう女の子は俺と心の中で会話する様に話しかけてきた。
女の子は緊張している様な声だったけど、一生懸命さが伝わってきた。
そして、またまた不思議な話を話し始めた。
パラレルワールド?
違う世界の俺?
俺、その世界では女の子なの?
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