第47話 えーーーー! どういう事ですかっ?!
パラレルワールド。
並行世界。
自分に降り注ぐ、不思議な現実。
だけど、私は未だに夢の中にいる様でした。
先程の恥ずかし過ぎる自分の行動を夢の中の話にしてしまいたい。
という事が本音かもしれません。
私はしどろもどろ、マルちゃんに尋ねました。
「マ、マルちゃん、私がこの世界にもいるの? 私自身の中に入るの? それってどういう事? 乗り移るって事? それともこの世界の私をその人の身体から追い出してしまうの? 私は絶対そんな事はしたくない。力になれなくてごめんなさい」
私は先程のマルちゃんの話から、どんどん想像していったら、凄く恐ろしい事の様な気がしてきて、恐くなりました。そして、もしそうなら、そんな事、嫌だと思い、一気に喋りました。
マルちゃんは、糸目を見開きました。
あの目、開くんだ?
マルちゃんの眼球は黒目がちでした。
糸目のままな印象が強かった私は、びっくりしてマルちゃんに見惚れてしまいました。
マルちゃんは見開いた目をパチパチと瞬きした後、元の糸目に戻りました。
『とんでもないことを言うので、びっくりしました。僕はこれでも、人々を幸せに導く、運命の調整人の持ち物です。まあ、全然使用されていませんでしたが......。とにかく、そんな酷いことはしませんし、させません。この世界のアナタの中にお邪魔するだけです。確かに乗り移る事に近いかもしれませんが、勝手にその人になりきって喋ったりする訳ではないんです』
この世界の中の私にお邪魔する?
どう言う事でしょうか?
『この世界のアナタは通常通り、普通に生活しています。貴方はその身体に入り込んで、ちょっと生活を覗き見して頂きます。貴方の声はこの世界のアナタに聞こえることもあります。どう言う風に聞こえるかはその方その方の感性次第ですが、お告げの様にも思われるかも知れないですね。そこで貴方はこの世界のアナタからもパワーを貯める事が可能になるんです』
の、覗き見、なんだかちょっと危険な言葉ですね?
でもこの世界も私は、やっぱり私だと思うんだけど......。
本当にポジティブなパワーなんて貯めれるの?
私は疑問でいっぱいでした。
『そうなんですよね。知羽さんはどこ行っても知羽さんです。私は探しました。一番、ポジティブな知羽さんを、そして見つけたのです。では知羽さん。行きますよ。パワーを沢山貯めましょうね』
そう言ってマルちゃんが、チビを掴んでいた私の手の人差し指だけを掴んだと思ったら世界が一気に暗くなりました。
暗くなる寸前に、大慌てする優君と、死神のお姉さんの顔が見えました。
******
私は不思議な気分でした。
誰かを通して世界を見ている、そんな感じでした。
【今日も良い天気だな。太陽が眩しいぜ。
だけど、朝ってやっぱり苦手なんだよなー】
私の中に沢山のハテナマークが浮かんでいます。
今、聞こえるのは私が入っている、ワタシの心の声?
なんですよね?
声が思ったよりも低いです。
目線は、見える塀の高さや、近くを歩く人と比べてそんなに変わってない様な気がします。
足が、スースーします。
半ズボンを私は履いているみたいです。
ランドセルもなんだかいつもより軽く感じます。
覗き見すると言っても、感覚は自分自身みたいな感じなんですね。
だけど、私の意思では、この身体は動かせないみたいです。
でもなんだか変です。
先程の喋り方に、凄く違和感があります。
『はははっ、気がついちゃいましたよね?』
笑っているマルちゃんの声が聞こえました。
マルちゃん? どういう事?
私にしか入れなかったんじゃなかったの?
もしかして、無理して別の人に入っちゃったの?
『別の人の中には、力がない貴方が入る事はまだ無理ですよ。その事に例外はありません。この方は一番、ポジティブなこの世界でのアナタです。松川 知羽。小学6年生の男の子です』
............。
お、男の子?
えーーーーーーーー!!!!
ど、どういう事ですか?!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます