第42話 優君? 本物? それとも夢?

 優君の後ろにいた女性、清楚な感じの美人さん。

 上下パンツスーツで、いかにも仕事が出来そうな感じです。



 もちろん、その女性と、優君が、そういう関係だとは思っていません。


 歳の差がありすぎますし......。



 だけど、優君は身長165cmくらいあって、小学6年生男子にしてはかなり大人っぽいのです。



 

 イ、イケメンだし......。




 と、いうより、この優君、そもそも、実在しているのでしょうか?


 マルちゃんが、私をポジティブにする為に作りだしたのでしょうか?



 だったら、どうして、他の女性も一緒なのでしょうか?



 なんか分かりませんが、私は胸がモヤっとしました。



 私は、優君? にしか見えない、この男の子からちょっと距離を置こうとしますが、肩をギュッと握られているので、離れる事ができません。



「え、ええと、優、君? 優君なの?」


 私は、少し不安になりながらも、優君にしか見えない少年に辿々しく問いかけました。



「えっ? あっそうか。あっえっと、ち、知羽ちゃん。わざとじゃないんだ。あ、危なかったんだ。ええと、何処から話せばいいんだ」



 なんだか優君にしては喋り方が辿々しく感じます。


 やはり、この優君は偽物なのでしょうか?



 それにしては随分、精巧に作られています。




 でも、偽物なら、優君と、昔みたいに沢山、お話する為の練習代に丁度良いかもしれません。



「えっと、ゆ、優君? 手を離して、ほ、欲しいな」



 偽物だったとしても、こんなに近いと、心臓が持たない。


「あ、ご、ごめん」


 優君? は慌てて、私の肩から手を離しました。

 綺麗なお姉さんは何が面白いのか私達を見てクスクス笑っています。



『クスクスッ、って、笑っている場合じゃないわね。ええと、マルちゃん。ここ......。どうしてこんな所に、右も左も分からない、この二人を連れてきたの?』



 何故か、綺麗なお姉さんがマルちゃんに話しかけています。


 マルちゃんは私が名付けた名前です。


 何故、お姉さんが知っているのでしょう?



 私は、優君そのものにしか見えない少年に夢中で周りの事が見えてませんでした。

 だけど、よく見ると、私達は空の上で皆でプカプカと浮いています。


「きゃー、こ、ここ、何処?!」



 私は高所恐怖症というわけではありませんが、こ、恐すぎます。



 私は叫びながら、思わず、優君らしき人にしがみつきました。


 本物の優君にはきっとこんなに大胆にはなれないと思います。



 きっとこれは夢なのです。


 私が抱きついた時、優君のそっくりさんはビクッと身体が固まった様に感じました。



 そして顔が真っ赤になりました。


 


 優君、感触も、とてもリアルすぎる。



 温かい、顔、近い。


 

 間近で見る優君? 格好良すぎます。



 何故が顔は赤いけど、イケメンです。


 






 夢、なんだよね?



 優君、こんな所にいる訳ないもんね?



 




 ドキドキドキドキ。


 ドキドキドキドキ。



 私の心臓が早くなるにつれて、優君らしき人の心臓の音も、私の耳に響きます。



 私は背が低いので、私の耳は優君? の胸の近くにあるのです。

 


『ええと、盛り上がっているみたいですが、話しても良いでしょうか? どうして、死神さんがおられるのですか? 管轄、違いますよね?』


 マルちゃんが、お姉さんの質問に質問で返しています。



 私は、離れて、って言ってみたり、抱きついてしまったり、もしこの人が、本当の優君だったら、恥ずかしすぎて、どうにかなってしまうと思います。


 でも、足元から下は、地面が遥か下の様です。


 怖くて確認できていませんが......。



 ここは何処でしょうか?


 マルちゃんは一体、私に何をさせる気でしょうか?



 この人は、本物の優君だったりしませんよね?

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