第21話 運命? 何言ってるの? 美少年の正体。
優君の顔が赤いよ。
ここ何年も泣いている所なんて見た事ないのに、涙をためているよ。
私はもう心配で慌て過ぎて、私も涙がでそうになってきました。
どうしよう。
まず、きゅ、救急車かな?
でもここ、何処って言えばいいの?
考えている暇もないよね。
私は救急車を呼んで良いほど緊急か、分かりませんでしたが、とにかくパニック状態で、ポケットからスマホを取り出してボタンを押しました。
ツー、ツー、ツー。
スマホからはそんな音が続きます。
『ここじゃ繋がらんわい。慌てなくても良い、この者は別に病気ではない。さっきも言ったじゃろ。ワシの光と滴にやられただけじゃ』
そう、平気な顔をして美少年は言いました。
私はその言葉を聞き、ムキになって言いよりました。
「さっきから、何、訳の分からない事言っているの? まあ、存在自体が訳が分からないけどさ?
病気じゃない? そ、そんな事、言ったって、こんな状態の優君を目の前にしたら、心配しない方が無理だよ!」
興奮して涙目な私は、初対面な事も忘れて、すっかり敬語も外れてしまっていますが、それどころではありません。
すごい勢いで喋る私に、美少年も少し怯んでいる様です。
『まあ、落ち着きなされ、ワシも思わぬ事態で、少し困っておるのじゃ、その少年の事もなんとかしてやるから、ワシの事も助けてくれんか?」
私は怪しそうな目でその美少年を見ました。
優君は少し呼吸が整ってきた様に思います。
良かった。少し調子が戻ってきたのかな?
「どう言う事? 貴方、詐欺師? 綺麗な顔して私達を騙そうって魂胆?」
私は眉間に皺を寄せて目を細め、美少年を見ました。
『お主達みたいなガキンチョを騙した所でワシはなんも得にはならんよ』
小さく息を吐き美少年はまだ喋り続けています。
『ワシにはな、ちょっとした役割があるのよ。お主達が何故ココに来れたのか......。』
美少年が言いかけた時、チビがすごい勢いで吠えました、
何故だか分からないが、美少年がチビの吠えたのに応えるように頷いていました。
『うむ。なるほどな。そういうことか......。』
どう言うことでしょう?
チビの吠えているのに応えるようにして何か言っている美少年。
やはりこれは新手の詐欺でしょうか?
光などの特殊効果や水なども、どういう仕掛けか分かりませんが、上手く実際に見えるようにして子供を使った詐欺?
しかし、ウチは貧乏です。
ウチなんか騙してもいくらも入らないです。
『こっちで話していたら、何、勝手に想像力を働かせておるのじゃ、詐欺じゃないと言っておるじゃろ?』
美少年は困った顔をしながらポリポリと頬をかく。
『とにかく、その少年を元に戻したいのじゃろ? まあ戻す事は無理じゃ、少年は私のパワーを吸収してしまって、それを上手く使いこなせないだけだからな』
ど、どう言う事でしょうますます意味が分かりません。
「使いこなすのはどう、し、たら良いんだ?」
額に汗はかいていますが、先程より様子がましになってきた優君が、途切れ途切れで、ちょっぴり美少年を睨みつけながら言いました。
『すぐには無理じゃ。それより、ワシの仕事にこのままでは支障をきたす。たいした事ない様に見えて
まあまあ、重要な仕事なんじゃ』
「アナタ、子供なのにもう仕事をしているの? アナタは一体な、何者なの?」
『ワシ? ワシか? そう言えば何も言っておらんから分からんよのぅ。だが手伝ってもらうには言わねばならんか』
えらく、焦らしますね。
優君の表情が少しマシになってきているから、まあ良いですけど......。
それに私達は、手伝うとはまだ一言も言っていません。
怪しそうな事や、危険な事は絶対しませんよ?
そんな提案をされたら、どうにかしてココを抜け出して、優君を病院の緊急外来に連れて行きます。
電話が繋がる所に出たら、優君の両親、おばさんかおじさんを呼びます。
『また、違う事を考えとるのぅ。まあいい。この事は他の者には言ってはならんぞ? ワシ? ワシはな。人との繋がり、まあ、そちらの世界では赤い糸とも呼ばれておるかな? 出会いなどの、きっかけ作り、その繋がりの強化、悪い繋がりの断ち切りなどを行う』
何この人、なんかアニメみたいなこと言ってる。
確か、昔見たアニメにこんなキャラいた気がする。
『ワシは運命の糸の調整人じゃ』
なんだか、この人、厨二病かも知れません。
優君、どうしよう。
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