第18話 いつもと様子が違う優君。ど、どうしよう。
どういう事でしょう?
私は人? と言っても良いのか分かりませんが、初めての方と話す事が苦手です。
こんなお綺麗な方、目も合わしてはいけない気がします。
何か話そうとしている、そのもと水? の少年がこちらを見ています。
私は助けを求めようと優君の方を見ました。
初めての人と喋るのは優君の得意分野だったりするのですが、今日の優君はやっぱりおかしいですね。
まだフラフラと一点を見つめていると言うか、私とも目が合いません。
合わそうとしても逸らされてしまいます。
どういう事でしょうか?
私は優君に嫌われてしまったのでしょうか?
落ち込みそうになりましたが、良く考えてみましょう。
優君から手を握られたままなのです。
嫌いな子の手は握らないと思うのです。
もしかして私の気持ちを気づかれていて、からかわれてる?
いえ、いえ、ありえません。
優しい優君は絶対そんな事をしません。
私は優君から目線を正面に戻し、うつむ加減でそんな事を考えていました。
そしてうつむいた顔をちょっとあげたら、目の前には天使様みたいな、目が潰れてしまいそうなほど綺麗なお顔が、前髪同士が触れてしまいそうなほどの所にあり、私はびっくりしてしまい、後ろに飛び退きます。
い、いつのまに、気配が全然なかったですよ。
優君と手を繋いだまま後ろに飛び退いた為、私はバランスを崩しました。
先程まで全然、手を離してくれなかった優君ですが、すぐ私の手を離し、私の身体を掴み、バランスを崩した私を支えてくれました。
優君の温もり、先程のびっくり、どちらか分かりませんが私の顔が熱くてたまりません。
きっと今、トマトの様に真っ赤だと思います。
「な、何ですすか? あ、あたたアナタは何者なんですか?」
私は慌て過ぎたのと、緊張しすぎたのとで、かみまくって、どもりまくってしまいました。
恥ずかしくて、更に動悸も激しくなり、身体も熱くなります。
『何度も声をかけたじゃろ? あんまり気にされなさすぎるのも悲しくてな〜』
と言いながら笑っている少年。
笑顔は可愛いのですが、何だか古臭いというか、お爺さんみたいな話し方ですね。
じゃ、っと言う語尾も、広島弁みたいに男らしいのとは違うんです。
声は若いので、子供がお年寄りの真似をしているようにも聞こえてきます。
喋ったら一気にイケメン度が下がった気がします。
何を話したら良いか分からず困っていたら、私を自分の後ろに隠す様に優君が前に出てきました。
いつも守ってくれていますが、今日は体調が良くなさそうなのに全身で守ってくれている優君。
その時、幼い頃の思い出が頭をよぎりました。
あの頃、家の近くに少し身体が大きくて、私のことをいじめる訳ではないけど、からかったり、追っかけ回したりしてくる子がいたのです。
優君が守ろうとしてくれてたけど、あの時の優君は私よりも身体が小さくて、私を守るのも大変で、私は小さな怪我しかしてなかったけど、優君は、私を守る事で、小さな身体をボロボロにされて、私はギャンギャン泣いて。
っと、私はすぐ物思いにふける癖があります。
綺麗な顔の少年が、何か優君に話かけている様です。
『ほう。大丈夫か? 随分身体が辛そうじゃ。私の光と滴に影響されてしまっているようじゃな』
そう、綺麗な少年が優君に向かってそんな事を言っています。
え!!
やっぱり優君、体調悪いの?
光と滴が影響?
な、何、言っているの?
どう言う事なの?
えっ?
だ、大丈夫なの?
どうしよう。
心配しすぎた私は、優君の腰に巻かれた上着の袖を握って、優君をちょっとだけ引っ張ります。
振り返ってくれた優君と目が合いました。
優君は目が潤んでいて、額に汗を浮かべています。
「なんでもない、だ、大丈夫だから、しんどい訳じゃないから」
そう、優君は言いますが、辛そうに言っている様子で全然、説得力がありません。
そんなに体調悪いのに私はチビの散歩に付き合わせてしまったの?
一緒にいれて、ちょっとでも触れ合える事に舞い上がって、私、ちっとも優君の体調に気づかなかった。
私のバカ。
って、そんな場合じゃない、ええとどうしたら良いんだろう。
優君の呼吸もちょっと荒くなっている様な気がして、慌てまくる私でしたが、綺麗な顔の少年はあまりに私達が相手にしないからか、拗ねている様でした。
そんな態度取られても、今はそれどころではないんです。
優君、どうしよう......。
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