第14話 優君、優君は私が守るからね。
枝のトンネルの出口付近。出口の向こうからの不思議な光を見つめていた私です。
チビも光を怖がるかと思っていたのに、どんどん光に向かって進んで行きます。
黄色い光をベースに薄いピンクだったり緑だったりする色が混じっていて、幻想的な光です。
ここいらでは人工的な光でしかあり得ないような色です。
だけど何故か私はそう思いませんでした。
私達もチビの後を追いかけます。
チビは何も考えていないのか軽い足取りです。
そんなチビを追い、途中で足が引っかかって転びそうになる私ですが、その度に、優君が腕や肩などを支えて助けてくれます。
そして、その度に私はドキドキしてしまうのです。
優君は本当に優しいです。
他の女の子も夢中になる訳です。
学校では避けられていたとしても、行き帰り、一緒にいる時に、さりげなく見せられる優しさに、好きになるなと言う方が無理に等しいです。
だけど、優君は私の事はほっておけない、ただの幼なじみと思っています。
そんな事を考えていた私は、またまた、転びそうになり、優君に助けられます。
本当に私は、自分のそそっかしさに情けなくて、悲しくなってきました。
チビもそんな私達を見て歩くスピードを緩めてくれました。
そして、遂にトンネルを抜けると、何処でどう繋がったのか、私達は大木に囲まれていて、もう、森の中という感じでした。
光が何処から出ているのか突き止められた訳ではありません。
私達の周り一帯を幻想的な光で包み込まれていて、所々透明にキラキラ光っているのが見えます。
「何これ、ココ、何処?」
言葉を失う程の綺麗な景色。
絵本や、映像の中でしか見た事がないファンタジーな世界。
木々の中から小さくて綺麗な妖精でも出てくるのではないか、そんな風に思ってしまう様な、幻想的な景色。
私は見た事もないこの景色からは、何故だか、頬を撫でる空気感が、優しいとは感じるのに、現実離れし過ぎていて、怖くなってしまいました。
声も少しうわずり身体も震えてきました。
先程まで、夜道を散歩していたはずです。
ココは、どうしてこんなに明るいのでしょうか?
「分からない、何だろな、ココ」
そう言いながら、優君が私の手を握りました。
びっくりはしたのですが、不安だった私は、思わず優君の手を握り返したら、優君の身体が大きく揺れました。
いつも冷静沈着なイメージの優君が凄く動揺している様に見えました。
優君も、こんな景色見て、やっぱり、びっくりしてるんだよね?
実は怖いのかな?
そんな優君の姿を見た私は、いつも守られてばかりだけど、だけど......、守られてばかりじゃダメだ。
そう強く思いました。
優君、優君は私が守るからね?
私は意思をかたく持ち、ギュッと唇に力を入れました。
私はそんな現実離れした景色に、見惚れそうになりながらも、危なそうなものが出てきても、すぐ対応できるよう、周りを警戒します。
そんな風に周りを警戒していた私ですが、ふと優君の方を見ると頭がフラッ、フラッと少し揺れています。
目がトロンとしてボーとしている様にも見えます。
どうしたのでしょう?
こんな謎の景色に包まれているのに、まさか眠くなってしまったのでしょうか?
私は少し焦って、優君と繋いでいる手を更にギュッと握りました。
優君は我に返った様に、軽く頭を振りました。
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