第6話 久しぶりに優君と

 一瞬、気まずい空気が流れた様に思います。


「散歩。遅い時間にしてるんだな」


 優君の声には少しトゲがある気がして、ドキリとしました。


「うん。......日が高いとコンクリートが熱いからチビも暑いかと思って」


 優君とこんな時間に喋るのは久しぶりです。

 自然と私の声も緊張で硬くなっているように感じました。




「まだ、散歩、始めたばかりなのか?」

 トーンがゆっくり目の優君の声はやっぱり優しいです。

 正面から優君の顔を見たのは久しぶりな気がして、目を合わせるのが難しい私は、何処を見たら良いか分からずに目をウロウロさせます。


 暗がりの中でも、ちょっとだけ逞しい身体になってきた、優君の腕を私はじっと見てしまいました。

 

 身長は165cmぐらいになってるかな? 

  


 ちょっと前まで私と変わらなかったのに。


「おい、聞いているのか?」

 優君の声と同時にチビが前に進もうと私の腕を引っ張ります。


 フンフンとチビの鼻息の音が、暗くなってきている空間に響きます。

 相変わらずシッポ振りまくりのチビです。


「うん。始めたばかりだよ。ちょっと、チビ待って」


 お構いなしにチビが行こうとするのを私は何とか踏ん張って引き止めます。

 

 


 優君ともうちょっとだけお喋りしたいの。


 チビ、ごめんね。


「ちょっと待ってろ。俺も行くから」


 そう言って、優君が家の中に入って行きました。


 えっ?


 今、何て言ったの?

 一緒に行くって聞こえたけど、私の耳がおかしくなったのかな?



 どう言うこと?



 ちょっといきなりすぎて頭が追いつかない。



 優君も一緒に散歩に行くの?




 なんで?


 なんで?



 嬉しいけど優君の考えている事が私には分かりませんでした。



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