第4話 チビとの出会い

 チビとの出会いは三年前です。

 アパートのゴミ捨て場にゴミを出しに行っていた時でした。


 ウチの地区のゴミ出し、生ゴミは火曜と金曜の夕方に出すと決まっています。


 市の指定のゴミが満杯になっているゴミ袋を硬く結び、持ち上げます。


 当時、今より更に身体が小さかった私は、一杯になったゴミ袋を持ち上げ階段を下りる事は大変でした。


 

 だけど、お母さんが大好きだった私は、何か一つでもお手伝いがしたくて、危ないからお母さんがすると言う言いつけも納得が出来ませんでした。



 その日も学校から帰ってきて中の様子をうかがうと、お母さんが仕事の合間に戻ってきて家事をしていました。


 私は、お母さんがお風呂を洗っている隙にゴミを集め、ゴミ出しを決行しました。



 重たいゴミ袋を持って階段を下りる。

 私は一段一段、緊張して、身体全体の力を使い、一歩一歩、下りました。



 半分まで下りた所で私はかなり後悔していました。


 

 お母さんがあれだけ口すっぱくして言っていたのも肯けます。


 



 だけど、ここまで下りてしまった私は後戻りは出来ませんでした。


 もうあと一歩で階段を下り終わる。



 その時、私はちょっとだけ気を抜いてしまったのです。



 階段の先端の滑り止め部分にスニーカーのつま先が引っかかりました。


 ゴミ袋を掴んだままの私は、一瞬、宙を舞いました。


 運動神経が良かったら上手く着地できたと思います。



 私は、クラスで一番足が遅いのではないかというぐらい運動は苦手でした。



 ゴミ袋を掴んでいた手は離れ、地面が間近に迫っていました。


 すごくゆっくり時間が流れているようでした。



 後ろでお母さんの叫び声が聞こえました。


「知羽っ!!」


 その声は危機迫るような泣きそうな声でした。



 またお母さんに心配かけちゃった。


 

 いよいよ地面にぶつかる。そう思った時、


 目の前に大きな茶色いものが飛び込んできて、

私はその茶色いものの上に転がりました。



 私はちっとも痛くありませんでした。



 今ではとても柔らかい茶色い毛。

 その時はパサパサしてて固かったです。



 そう、それがチビと私の出会い。

 チビは私の恩犬です。

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