第2話 いつもと違う お母さん
チビの茶色いフワフワな毛が頬にあたってくすぐったいです。
顎の下はちょっぴり獣臭いけど、私はその匂いに心が落ち着いてきました。
チビがクンクンと私の首筋を匂います。
私のちょっと大きめの耳たぶを大きな舌が舐めました。
はち切れんばかりにブンブンに尻尾を振っているチビ。
私は状況も忘れて、思わず声を上げて笑いました。
「知羽? 帰ってきてるの?」
リビングからお母さんの声がします。
何となくその声に応える事を躊躇していました。
部屋でじっとしていると、ボソボソと玄関の方でお母さんと男の人話している声が聞こえてきました。
誰なんだろう。
近所の人かな?
心臓の音が大きくなって、中々収まってくれません。
扉の締まる音がして、誰かが外に出て行った様子が分かりました。
足音が部屋に近づいてきましたが、この特徴的な足音はお母さんと分かっていた私は、緊張していた身体の力を少し抜きました。
だけど、まだ少しソワソワしています。
「知羽、帰ってきてたのね」
お母さんの声はちょっと硬かった様に思います。先程の知らない男の人とはもうワンオクターブ高くて弾んでいる様に感じました。
私はお母さんがいつもと全然違う人みたいで少し怖かったのです。
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