確信は失敗へと変わることが多い。いわゆるフラグ
大きな扉の前まで来た。恐らくここが最奥だろう。
ダンジョンは道中のトラップや魔物が現れ、それを抜けていき、最後にボスを倒すとお宝が出るというのが一連の流れだ。
つまりここからはボス戦だ。
準備をして扉を開ける。するとそこは大広間となっており何もない空間。
中央付近へ進むと突然床に紋章が描き現れ始める。それと同時に大型の魔物が上から降ってくる。
顔はライオン、体は山羊、しっぽには蛇が生えている。間違いなくキメラ系だ。
僕を正面に見据えるとけたたましい咆哮をあげる。
僕はそれを狙って口の中に赤黒い球を投げ、ウォーウルフの時と同様に盾を自身が隠れられるサイズまで大きくし、さらに
「アシスト:耐衝撃!」
詠唱。自身にオーラが纏われる。
投げた球がキメラの口に入ると一瞬の閃光。キメラの体が膨らみ、それを中心にものすごい爆発がおこる。それは周囲のすべてを巻き込んでいった。
「相変わらずすごい威力だな」
爆発の衝撃に耐え、盾の構えを解きながら周囲を確認する。ちゃんとキメラは爆発四散したようだ。
少しすると再度上から何か落ちてくる。今度は魔物ではなく箱が落ちてきた。間違いなく宝箱だ。
これにてボス戦完了!
え?ボス戦なのにこんな雑でいいのかって?これが安定して勝てる方法なんだからそれがいいに決まっている。剣や魔法を使って勇ましく戦うだなんてそんなものはもっと冒険者らしいやつらにでも任せておけばいい。
宝箱の中身を確認する。中にはスクロールが入っていた。
スクロールは一度きりだがその内容の魔法が魔力なしで使える。なので魔法があまり得意でない人も使えるため貴重なアイテムといえるだろう。
内容はギルドの鑑定士に見てもらわないと分からないがスクロールというだけで価値がある確率はかなり高い。ドラゴンの情報は確かだったようだ。ギルドに持ち帰って確認しよう。
「これはかなり低級のリラックスさせる魔法ですね」
「なんて?」
「ですからリラックスです。効果としてはそうですね……手のひらに人という字を書いて飲み込むおまじないをしたとき程度ですね」
「気休めじゃん!ほぼ効果ないよねそれ!」
「しかし、かなりしょぼいですが精神支配系の魔法なので、精神支配系のB級以上の資格をお持ちでないと所持することを禁じられています。ですのでこちらで買い取らさせていただく形になりますが」
「とりあえず持ってはいますけど……ちなみにいくらくらいで?」
「だいたい500マニーくらいになりますね」
「まさかのワンコイン!」
子供のお小遣いか!
「……持って帰ります」
ダンジョンクリア報酬から今回使ったアイテム代、保険金を引くと残りが寂しいものとなった。ちょっとしたお小遣い稼ぎをしたようなものである。かなり割に合わない。
「騙したな!」
『なんだ帰ってくるなり』
かえって一直線にドラゴンに文句を言いに行く。
「手に入れたものは役に立たないし功績にもならないし!」
『お前は緊張のしすぎで試験に落ちたのでだろう。ならばリラックス効果のあるそれはぴったりじゃないか』
「この程度で緊張がほどけてたら多分受かってたよ!」
『しかし近くとなるとこれ以上のものはないぞ。お前の言う功績になりそうなものが得られるのは山をいくつか超えないと獲得できないな』
「くぅ……やっぱり楽はできないか……」
『それと先ほど役に立たないと言っていたがいずれ必要になるときがくる。私は嘘はつかない』
「こんなものがか?まぁ、お前がそう言うならきっとそうなんだろうけど。全然納得はしてないけどそういうなら今回はこれでいいのか……?」
『そうだな……ならばお前のいう功績になりそうなものの場所をまたあそこのケーキだけでおしえてやろう。あ、もちろん違う種類の奴な』
「遠出したくないけど仕方ないか……。よし今度はちゃんとしたやつ頼むぞ!ほんとお願いだからな!」
こんなで僕は少しだけ冒険に出ることになった。
ほしいものはなんですか? こめ おこめ @kosihikari3229
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