3 オンラインデートしよう【浩太】
不要不急の外出に対して自粛要請が出る前、僕たちも、休みの日にはデートに出掛けていた。
基本、カレンダーどおりの僕と違って、莉緒の休みはシフト制。毎週土日が二連休ってわけにはいかない。それは、莉緒にとって、友だちとの約束も同じなわけで。
本当なら、友だちと行くはずだったライブの延期が決定し、予定の空いてしまった次の土曜日。落ち込む莉緒に、最近知った、オンラインデートを提案してみた。
すごく乗り気な様子で、その喜びようは、ラインの文面からもありありと伝わって来る。
期待に応えたくて、調べてみた。
同時に映画を観たり、ご飯を食べたり、ゲームしたり。直接逢うことが叶わなくなった今でも、工夫すればいろいろと楽しめそうだ。
誰か身近な人に相談してみたい。
けれど何となく、こんな浮かれた話題を持ち掛ける相手は、選んでしまう。
「やっぱり、莉緒が笑顔になれることしたいなって、思うやん?」
静かに話を聞く、いつも僕を癒やしてくれる、目の前のコイツ。
「あー、そや。それと、な? これは、お前やから聞くんやけど……」
見てるとつい、心が緩んでしまって。
「か、かわええって、どう面と向かって……。あ、やっぱ、今のは聞かんかったことにしといてやっ」
なんて、いらん相談を、今日も莉緒からもらった観葉植物にしてる。
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