ランクアップ

「いやー、進くん! 嵐牙くん! お手柄だったよー! ゴブリンとの

平和条約も上手く行きそうだよ! 」


「そうですか? 」


「で、報酬は? 」


「お前バカ! そう言うのは遠回しに聞くんだよ!

すみませんクライさんこいつバカなんで許してやってください」


「あれ? 言ってなかったっけ? 今回の報酬はランクアップの資格だよ? 」


「ランクアップですか? 」


「ゲームのか? 」


「ちげーだろ」


「まぁ、いわゆる試験見たいな物だよ 」


「試験ですか? 冒険者にも試験ってあるんですね 」


「もちろん、試験に合格すると中級冒険者になれるよ」


「おぉ~俺達もとうとう駆け出しから脱出だな」


「これでクエストの幅が広がればいいんだがな、それで試験内容は? 」


「うん、僕に一撃攻撃を当てることだよ」


「なるほど質問良いですか? 」


「なんだい? 」


「俺達は1人ずつ試験をするんですか? 」


「君たちはパーティーを組んでるだろ? 」


「一応」


「仕方なく」


「それなら、二人で良いよ。パーティーなら上限4人まで同時に試験に

挑んでいい規則なんだ」


「へぇ~」


「俺からも良いか? 」


「なんだい? 」


「一撃と言ったな? 」


「うん言ったよ」


「武器などの仕様はありか? 」


「もちろんありだよ。もちろんこっちからは攻撃はしない、

最低限の防御以外は、ね」


「例えば何ですけど、弓を使ってもいいんですか? 」


「もちろん遠距離攻撃、近距離攻撃、トラップでも

一撃攻撃が当たったら合格、試験時間は3時間、それを過ぎると不合格」


「不合格の場合どうなるんですか? 」


「もう一度資格を取り直してもらう」


「まぁ、一発で合格するから関係ないがな」


「おぉ、強気だね」


「一撃を当てれば良いだけだろ? そんなの簡単さ」


「で、場所は? 」


「ギルドの裏にある5m×5mの正方形場の場所が試験会場だよ

明日の昼12時、時間厳守で集合ね」


「わかりました」


「了解した」


「ベストを尽くして頑張ってね」


「作戦はどうする? 進」


「俺にとっておきの策がある! 耳を貸せ」


「おぉ! お前天才か! 」


「知ってる! 日本の諸葛亮孔明と呼んでくれ! 」


~翌日~


「へぇ~地面は土なんだな」


「朝飯はしっかりお腹いっぱい食べたか? 」


「もちろんだ。何なら食べ過ぎて気持ち悪い

お前こそ水はしっかり飲んできたか? 」


「もちろんだ飲み過ぎてジャンプすると腹の中から音がするわ

聞いてみるか? 」


「ちょっと聞いてみたい」


ぴょんぴょん、ジャブジャブ


「ほんとだ! 音する! なにそれおもしろ~

うッ! あんまり笑わせんなよ吐くぞ」


「おぉ、すまんすまん」


「お待たせ~時間より早いけど試験を始めるけど、

その袋と、石の板はなんだい? 」


「お気になさらず」


「さぁ、始めよう! 」


「じゃあお互いに1番端に寄ってから、試験開始!! 」


「行くぞ! 」


「あぁ! 」


「どうしたの石の板を横にしてその後ろに隠れてなんのつもりだい? 攻撃して来ないのかい? 」


「遠距離でも良いって言いましたよね? 」


「うん言ったよ」


「だから、俺たちの作戦はこれです!! 」


そう! 俺たちの作戦その1! 小石を投げる!


「分身創造アバタークリエイト木羽嵐牙! 」


「これで、三人で小石を投げ続ける! 」


「なるほど、面白い作戦だけど草の壁グラスウォールこれなら意味ないね」


「予測の範囲内ですね」


「嵐牙あれを! 」


「おう! 」


「そぉら!! 」


「この感じは油? 」


「そう! 油木の油です! それを石に付けて投げる! 」


「うぉぉぉぉぉ!!! 」


「この臭いはまさか! 」


「そう!お察しの通り、炎石、別名油石それをずっと油に付けて投げていた

そして、嵐牙! 」


「簡易型炎魔法石略して、火打ち石で炎石に火をつけて

俺の分身が投げる!! 」


「嵐牙! 」


「おう! 」


「こっ、これは火で草の壁が燃える! 」


作戦その2! 炎でクライさんの属性封じ


「今だ! 壁が燃えてるから投げろ!! 」


「うぉぉぉぉぉぉ!!! 」


「なら、水木ウォーターウッド」


「なんだ! あの木! 」


「木から水が出て火を鎮火してる! 」


「だが! 予測の範囲内! 嵐牙後は頼んだぞ! 」


「任せろ! 共有リンク」


あれ? 嵐牙くんが消えた? いや板の裏に座ってるのかな?

なにか企んでるね恐らく奇襲かな? それともここの下に通路でも

掘ってあるのかな?


「うぉぉぉぉぉ!!! 」


「石を投げてるだけじゃ僕には当たらないよ

草の刃グラスカッター」


「うぉ! って危なっ! 最低限の防御じゃないんですか? 」


「だから、最低限の防御だよ。攻撃は最大の防御でしょ? だから

三連草の刃グラスカッター


「創造クリエイティブ石の板! 」


嘘だろ!? 石の板を切りやがった! そんな事ある?


「クライさんそんな攻撃じゃ防御にもなりませんよ!

創造クリエイティブ石のナイフ! 」


「小石の次はナイフかい? 」


「おれの好きなマンガでは、敵キャラが数10本のナイフを

投げまくってるシーンがある! 」


「草の壁グラスウォール」


「そんな、草の壁など! 無駄無駄無駄無駄!!! 」


「すごい切れ味だね、少し貫通してるよ」


「嵐牙まだか!? 」


「あと少しだ今だ! やれ! 」


「りょーかい! オラ!!!! 」


進くんの袋の中に入っていたのは砂かな? でもそれで何を?


「こほッ、こほッ! なんのつもりだい? 進くん? 目眩ましかい? 」


「その通りですよ! 」


俺達は見えるようにゴーグルを付けている! この作戦に穴はない!


「おっと! 今のは危なかったよ」



「万策尽きたり? かな? 」


チクッ


「痛っ」


「勝負ありですクライさん」


「何が起こったんだい? 」


「足元をよ~く見てください」


「これは! 嵐牙くんの分身! 」


「そう! 嵐牙の分身はサイズの変更ができるんです! 」


「その通り! 大きくは出来ないが、小さくはできる!! 」


「それに、槍を持たせて攻撃させました」


作戦その3! ちびちび嵐牙大作戦【チクッとしますよ】


「これは、一本とられたね。試験は合格だよ二人とも」


「やったな進! 」


「おう! 嵐牙! 昨日作戦会議したかいがあったな」


「こいつがずる賢くて」


「いやいや、嵐牙程じゃないよ。そもそも、最後のはお前の

アイデアだしな」


「我ながら完璧な作戦だったな」


「2つは俺が考えたがな! 」


「それじゃあ、ランクアップしに行こうか」


「どこに行くんですか? 」


「メロウのところだよ」


「メロウさんのところですか? 」


「そう、ランクアップは本当は本部のギルドで行う必要があるけど、

メロウも出来るし、それに後で書類を書けば大丈夫」


「なるほど」


「早く行こう」


「どうしたの? そんなに急いで」


「もう限界なんだ。」


「あぁ、俺もだ」


「喉渇いた!! 」


「お腹すいた!! 」


「なにか飲みたい! 大きな声だすと更に渇く! 」


「まじで、さっきまでお腹いっぱいで気持ち悪かったけど、

今はお腹が減りすぎてお腹痛い」


「それじゃあ、早めにメロウの所に行って、その後にお祝い会だよ

好きなだけ食べていいよ、僕の奢りさ! 」


「悪いですよ、毎回奢ってもらって」


「良いんだよ、僕が奢りたいんだ」


「そうだぞ進人の善意は受け取るのが礼儀ってもんだ」


クライさんエルフだけどな。


なにはともあれ合格で良かった。この能力、ひょっとして強いんじゃね?

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