筋肉

「なぁなぁ」


「なんだよ進? 」


「お前って見ただけで分身出来んの? 」


「出来ない、取り敢えず1ヶ所触らないといけない」


「不便だな」


「お前にだけは言われたくない」


「飯どうする?」


「俺は、カレーの気分だ」


「え~カレーか、俺カツ丼食いたい」


「間を取ってカツカレーでどうだ? 」


「あぁ、良いねぇ~カツカレー、採用」


「お前いくら持ってる? 」


「1000GARAだな」


「すくなっ! 」


「武器と食事で消えた」


「クエストやんないのか? 」


「クエストが高難易度の奴ばっかだから駆け出しにはきつい」


「わかる」


「あっ、でもメロウさんの報酬貰ってないわ、

メロウさんの所行ってからでも良いか? 」


「良いよ別に」


「よし! 決まり! 」


どうにかしてこいつの能力でメロウさんのたわわな

胸を再現してもらいたいなそうすれば……

「おい! 」


「なんだ!? いきなり大声を出して」


「事故に見せかけてメロウさんの胸を触ったらどうだ? 」


「止めておけ殺されるだろう。 」


「事故ならお前が土下座すれば良い! 」


「お前自分の性にどこまでも素直だな。 」


「いや、性に素直なのは男の子だから」


「だが、お前の気持ち良くわかる! 」


「お前……やってくれるのか!? 」


「止めておく、メロウさんは凄腕の魔法使いだ

あの人の強さは、ギルドマスターのクライ・アルベルトと

肩を並べるほどだ」


「へぇ~」



「反応薄っす! 」


「クライさんの強さがどのくらいか知らん」


「お前駆け出しだろ? 」


「あぁ、もちろん」


「ステータスカード白だろ? 」


「白以外あんの? 」


「駆け出しは白なんだよ 」

「へぇ~」


「メロウさんから聞いてないのか? 」


「聞いて無いな」


「そんで、クライは1番上の虹色なんだよ 」


「虹色って見にくくて仕方ないじゃん」


「それを言ったらアカン」


「どうすれば上がるんだ? 」


「それは、知らん」


「お前も知らんのかよ」


う~ん駆け出しから上がりたいけど、今の状態で上がっても

クエストを受けられても、達成できないし意味無いな

「お~い? 進く~ん? お客様~? ナイスチューミーチュー? 」


もっと能力の幅が広がれば良いんだけどな……

「ってうるさ! なんか用か? 」


「お前、考え込むと回りの声聞こえなくなるタイプだろ? 」


「そうだな」


「気を付けろよ」


「なにをだ? 」


「俺は以外と寂しがり屋だ」


「それが? 」


「お前が考え込むと俺は、話し相手が居ないだろ? 」


「そうだな」


「そうすると寂しいだろ! 」


「お前は彼女か! 」


「だれがてめぇの彼女だ! 」


「しかも、割とめんどくさい感じのあれだろ! 」


「知るか! 」

「知れ! 」


「お~い……」


「ん?」


「なんか聞こえるよな? 」


「爺さんか? 」


「進く~ん……」


「呼ばれたか俺? 」


「呼ばれたな」


「ここだよー」

大剣を持ったごつい体格の男二人の中にクライさんが居る


「あっ、クライさんだ」


「それとそこに居るのは嵐牙くんかい? 」


「なんであの人あんな所に? 」


「ちょっとすまないね」


「クエスト終わりかい? 」


「はいそうですけど、クライさんは何を? 」


「それよりあのマッチョは誰だ? 」


「あーあれは、僕の冒険仲間だよ」

クライさんの冒険仲間ごつ過ぎる


「お前の冒険仲間ごつ過ぎないか? 」

言ったー!! 俺が言いたくても言わなかった事を

なんの包み隠さずに!! こいつ死んだな……


「でしょ~? 」

えっ? なんで嬉しそうなん?


「お~い! この子達がお前らの事、ごついって! 」


「おっ! 嬉しい事言ってくれんじゃねぇか! 」


「トレーニングしてる甲斐があるってもんだな! 」


「なんで嬉しそうなんですか? 」


「僕の仲間は皆、筋肉を見られたり、ごついって

言われるのが好きなんだよ」


「じゃあ遠慮なく、よっ! 筋肉の戦車! 」


「おぉ! なんだ! その心の奥底に響く言葉は!? 」

金髪の筋肉が反応する


「お前なにやってんだ? 」

嵐牙がまるで、小学生のような目でこちらを見ている


「いや、お前も言ってみ楽しいから」


「じゃあ俺も、よっ! 筋肉の暴走状態! 」


「いいな! お前ら!! もっとくれ! 」

金髪の上腕二頭筋と三頭筋から血管がクッキリと

浮かび上がってくる程の、【サイド・チェスト】を披露している


「俺にもくれ! 」

スキンヘッドの筋肉が物欲しそうな目でこちらを見つめている


「背中に鬼神が宿ってる! 」


「その足どうなってんの!? 」


「うぉぉぉ!! 何故かポーズを取りたくなってしまう! 」

スキンヘッドの筋肉が【アブドミナル・アンド・サイ】

のポーズをとる


「筋肉の申し子! 」


「全身筋肉で構成されてる! 」


おぉ? なんだなんだ? すごい筋肉の人達が、ポーズ取ってるぞ!


「筋肉装甲車!! 」


「筋肉のフェラーリ! 」


「細胞一つ一つ筋肉で埋もれてるよ! 」


「大マッスル筋肉ブラザーズ! 」


「おぉー!!! 筋肉が喜んでいる! 」

金髪の筋肉が【フロント・ダブル・バイセップス】のポーズをとる


「うーん!! 筋肉たちが踊っているようだ! 」

スキンヘッドの筋肉が【サイド・トライセップス】のポーズをとる


いつの間にか、ボディービル大会になってるな……

楽しいから良いか!


「筋肉でもはや、装備が要らないよ! 」


「全ての筋肉に感謝して! マッソウ!! 」

『マッソウ!!!! 』

二つの筋肉が【モスト・マスキュラー】のポーズをとる


「おぉー!!!! 堪らねぇー!! 」


「筋肉が膨れ上がって収まらねぇー!! 」

二つの筋肉が輝いて見える


「あの~? 進く~ん」


「なんですかクライさん? 」


クライさんが凄く汗をかいている

「人が半端ないくらい集まってるんだけど? 」


「ですね。 筋肉の狂戦士バーサーカー


「その腹筋割れすぎて、チョコを超えてカレーのルー!! 」


「お前、カレー好きなだな」


「カレーは最高だ!! 」


「おぉー!! いいぞ!! もっとくれ!! 」

金髪の筋肉が【バック・ダブル・バイセップス】のポーズで叫ぶ


「三角筋が凄いことになっちゃってるよ! 」


「大胸筋が凄すぎて首が見えないよ! 」


「俺の筋肉達が、雄叫びをあげている! 」

スキンヘッドの筋肉が【フロント・ラット・スプレッド】のポーズをとる


「足かと思ったら二の腕だった! 」


「ナイスバルク! 」


「仕上がってるよ! 仕上がってるよ! 」


「はぁ、草の拘束グラスバインド


「おぉ!? なんだ!? 」


「地面からつるが生えてきて縛られる」


「こんなもの! マッスル!! 」

ブチ


「筋肉にまかせなさい! 」

ブチ


「あの人達凄くね? 」


「凄いで済ませて良いのか? あれ」


「こんな硬いつるを筋肉で引きちぎったぞ」


「人間とは思えない筋力だ」


「落ち着いた? バーン、キース? 」


「あぁ、すまねぇクライ」


「筋肉が暴走しちまって」


「すいませ~ん」


「俺達も解いてもらって良いですか? 」


「あぁ、ごめんごめん」

クライさんが手を軽くを横に振ると腕や足に絡まっていた、

つたが徐々に解けていく。


「人だかりが凄いことになってるね。お騒がせして申し訳ありません」


「あの人って! ギルドマスターの

クライ・アルベルト様じゃない!? 」


「えっ? 本当に! 」


「ほんとだ! 俺、生で初めて見た!

虹級冒険者のクライさんだ! 」


「おいクライ今度はお前が人集めてるぞ」

金髪の筋肉がクライの肩を軽く叩きながら慰めている


「人の振り見てなんとやらだな 」

スキンヘッドの筋肉も慰めている


「ごめんね」

仲間と一緒だとクライさんってこんな感じなんだ


「隣の人達はまさか! 」


「クライさんのお仲間の、バーン・キラウス様と、

キース・グラディウス様じゃない!? 」


「ホントだ! おれ、バーンさんのファンなんだ! 」


「キース様~!! こっち向いて! 」


「クライさーん! またうちのお店に来てね~」


「えっ? 何でこの人たちこんな有名なん? 」


「俺に聞くな」


「嵐牙くん! 進くん! 今は取りあえず

全力でギルドまで走るんだ!! 」


「え~~!! 嫌だー!! 」


「仕方ねぇだろぐずぐずしてんと、進の奢りな」


「それはもっと嫌だ~!! 」


「進くん達ご飯食べ行くの? 」


「あっ、はい」


「どこ食べ行くの? 」


「カレーを食べに行こうかと」


「なるほどなら僕たちも同行して良いかな? 」


「もちろん! 良いよな嵐牙? 」


「あぁ、良いぞ」


「なら良い店を知ってるんだ、僕に付いてきて~」


「もしかして、クライさんって」


「あぁ、ギルドでは性格隠してんだな」


「クライは責任感が強いから安心感を与えるために、

冷静沈着を装ってるんだ」

俺達の話を聞いていたスキンヘッドの筋肉が真剣な顔で話してくれた


「あいつギルドマスターなんて重職はじめは無理だとか先代に言ってたんだ


「俺達はお堅い役職なんて向かないから冒険者を続けてるがクライも本当は……」


クライさんも本当はこの二人と冒険したいんだろうな……

「って、クライさん速すぎだろ!? 」


「あいつ昔から俺達の中では、1番足速かったよな」


「あぁ、アイツが全力で逃げると捕まえれねぇもんな」


「昔から一緒だったんですか? 」


「おっおい……ハァハァ」


「どうした嵐牙? 」


「さっき叫んでたから、喉が渇いた」


「お~い!! クライ~!! 」


「うぁぁ! ビックリした! 」


「どうした突然大きな声をだして」


「いや大きな声を出したのはキースさんでしょ? 」


「確かにそうだな」


「なんだいキース? 」


「もう来てないから、歩こう」


「わかった」


「ほら、これ飲みな」

そう言うと、バーンさんは自分の飲み物を嵐牙に渡した


「大丈夫だ、口は付けてない。さっき買った物だ」


「助かる」


「なぁ嵐牙」


「なんだ? 」


「お前は何故、初対面の相手にもため口なんだ? バカなのか? 」


「バカとはなんだ! バカとは! まぁ、一言で言えば面倒くさいからだ」


「例えば社長とかにもタメ口なのか? 」


「それは、ケースバイケースだろ」


「人を選ぶって事だな? 」


「まぁ、そうだな」


「ここだよ」


「おぉー!! カレーのアジトって書いてある! 」


「カレーのアジトって名前凄いな……」


「お邪魔するね~

「らっしゃい」


「5人だけど入れる? 」


「おう、てきとうな席に座んな」


内装は結構綺麗だな

「空気中に残るカレーのスパイスの香り、

キッチンから香る焼きたてのナンの匂い! これぞTheカレー屋! 」


「お前そんなにカレーが好きなのか? 」


「あぁ、世界の料理で1番好きだな。口の中に広がるカレーの旨み

鼻を突き抜けるスパイス、それを緩和するナンとライス。

デザートや飲み物などので、舌の辛味を抑える。

ここまで完璧に調和の取れた料理があるか!? 」


「おっおう」

こいつカレーに対する熱半端ないな。お前の熱量でナンが焼けるわ


「今日は僕が奢るから好きな物を好きなだけ食べて良いよ」


「まじっすか!? 」


「本当か! 」


「俺達も良いのか? 」


「バーンとキースに奢るとお金が無くなっちゃうよ」


「なんだよギルドマスター」


「俺達にも奢ってくれよー」

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