合成獣

コンコン

「入ってもいいかい? 」

「どうぞ~」

「宿の金を貰いにきた400GALAだ」

「毎朝ご苦労様です」

「丁度もらうよ毎度あり」

今日はメロウさんのところ行って報酬を貰って、

ギルドでクエストを受けよう出来れば戦闘ができるやつ


「メロウさ~ん報酬貰いにきました」

「あっ! 進く~ん!! 待ってたよ~」

メロウさんは嬉しそうな顔で出迎えてくれた

「進くんの創造する石あるじゃん? あれって魔法石だったんだよ! 」

「魔法石? ってなんですか? 」

「魔法石は、魔法伝導率が凄く良い石なんだよ! 」

メロウさんの目が輝いてる

「それってすごいんですか? 」

「聞くより見た方が早いね! 早速あれ貸して」


メロウさんの言う通りに石の槍を貸した

「この槍の穂先の方を持ってね」

「ここで良いですか?」

危なすぎる! メロウさんが力を込めて突いたら俺の腹貫かれるんだけど!?

「行くよ~」

手から変な汗が出てきそうだ

「どう? 」

「なんか手が変な感じがします」

「それが魔力を通してるって事」

手から体の中を巡ってるのがわかる。不思議な感じだ

「はいありがと、魔法石はよく機械の部品として使用されるんだよ」

これを売れば一儲けできそうだな、まぁ貴重ならなんだけどね

「魔法石ってレアなんですか? 」


「あんまり」

そうでもなかった…… 楽はできないか……

「報酬の3万GALAね」

袋いっぱい! パンパンだ! この世界、銭しかないから重いんだよな

だれか、紙幣を作ってくれ……

ギルド行って軽食を食べてクエストに行こう

「いらっしゃいませ~」

「すいませ~ん注文良いですか~」

一目見たときから決めていた、軽食代表のブリトー!

クエストの行きにでも食べよ

「ブリトーとブドウジュースお持ち帰りで」

「畏まりました~」

次いでにクエスト見に行こ


「進くん」

この声はクライさんか

「進くんにお願いしたいクエストがあるんだ」

お願いしたいクエスト?

「最近パーシャの森で合成獣キメラが目撃されると言う噂が入っている

そこでレイブンお墨付きの君の出番だよ」

レイブンお墨付きって、いつの間に付けられた。

おそらく合成獣の討伐とかだろうな…… クライさんには悪いけど

まだ死にたくないから、断ろう

「合成獣の目撃が本当かどうか確かめてほしい」

「確かめるだけで良いんですか? 」


「うん、このカメラを使って写真を撮ってほしい」

カメラが出てきたー! めっちゃナチュラルにカメラがでてきたー!!

えー!! 異世界感をぶち壊すアイテム

その1カメラ!

「合成獣と思われる生物を撮って私に見せてくれればクエストクリアだよ

合成獣の強さは、熊を凌駕する強さと報告を受けている」

その話まじなんだよな、なんならその現場見たしな

「報酬は1万GALAでどうだい? 」

「是非やらせてください! 」


「そう言ってくれると信じてたよ! 」

「お待たせ致しましたお持ち帰りのブリトーとブドウジュースになります」

「あっ、君」

「はい何か用でしょか? クライさん」

「彼の食事代は私が出すよ」

クライさん! めっちゃいい人もう大好き! 惚れたわ! けど悪いな

「良いんですか? 」

「クエストを受けてくれた礼だよ」


「あと、料理人達が君が美味しそうに食べてくれるから、

作ってる側としてもとても嬉しいって言ってたよ、

いつも皿が綺麗だし、食べ残しが無くて助かるって」

普通の事なのに嬉しいな、あと少し照れくさい

「ここの料理がうまいお陰です」

「ふふっ、料理人達に伝えておくよきっと喜ぶだろうね」


「それじゃあ、いってらっしゃい進くん」

そう言うとクライさんはギルドの奥へ行ってしまった

それじゃあ行きますか!

「ありがとございました~」

ここから森まではおよそ2.8kmブリトーを食べるには

時間は十分過ぎる程あるゆっくり味わいながら食べよ


この森はいつ来ても静かだなぁ~

ん? 人の声が聞こえる

「え~嵐くんのいじわる~」

「嘘だよちゃんとやるって」

「え~ほんと~に~? 」

「ほんと~だよ~」

ちっ! 異世界にも居るのか! 彼女無しの天敵

バカなカップル略して、バカップル

って、あの身なり冒険者か? 女の方は、えっ……!?

メロウさん……なんで!? 男っ気なんて微塵も感じなかったのに……

あんな美人だから彼氏の一人いても不思議じゃないか……


でもあの男羨ましすぎる!!

あいつの目の前の草むらが今明らかに動いたけど

メロウさん達は気づいてない……

警告した方がいいか? だが大声を出すと逆に草むらの奴を

刺激して、襲ってくる危険がある

素早くそれでいて音を立てずにメロウさん達の元に行かなくちゃ


てか、俺が音殺して移動してんのに、なんで彼奴は気付かずに

でけぇ声で喋ってんだよ! てか、ここはデートスポットじゃねぇ!

いっその事、わざと大声を出して草むらの奴に二人を襲わせてやろうかな……

落ち着け! 男が羨ましすぎて、考え方がやばくなってる……


なんだかんだ、近くまで来れたな

「お~い……」

「ん~? どこからか声が聞こえるよ~嵐く~ん

メロこ~わ~い」

イラッ

「大丈夫俺が付いてるぜ」キラッ

イラッ!

ヤバい! ウザさが限界突破しそう! まじで、メロウさん

彼氏の前だとあんなんだ…… 我慢しろ! 我慢だ! 進!

「お前ら~前の草むらに何か居るぞ~……」


「まじで、どっから声してんの? 」

「ここだ……」

「なんで木の後ろなん? 」

「そこの草むらに何か居るからゆっくりこっちにこい」

「あー!! 進むくーん!! どうしてここに!? 」

「メロウさん! 大きな声出すと」

ピョン

「わぁー可愛いうさぎさんだ! 」

うさぎ? そいつはまさか!

「そのウサギに近づいちゃだめだ! 」

「ギシャーー!!」

うさぎは牙を剥き出しにし、メロウさんの首に噛みついた

「メロウさーん!! 」

うさぎの鋭い牙は確かにメロウさんの首を噛んでいただが、

血が一滴も出ていない。

状況があまり飲み込めていないせいで、悲しいと気持ちが沸いてこない


「やべ!」

彼氏が後退りしている

メロウさんの体は段々と薄くなり、まるで蛍の光が一斉に散る様に

消えてしまった。

「写真とらなくちゃ」

カシャ

静な森にカメラのシャッター音が響く

すると、うさぎはこちらを睨み、前進してくる


彼氏は全力でこちらに走り出した

「やばいやばい! 逃げなくちゃしぬだろ! 」

なんか、デジャブってそんな事考えてる場合じゃねぇ!!

俺も逃げなくちゃ!

「おい! 何故メロウさんを見殺しにした! 」

「あぁ!? あんな状況じゃどうしようもねぇだろ!」

「と言うよりお前、俺が付いてるから大丈夫とか抜かしてただろ! 」

「はぁ、狼程度ならまだしも、あんな化けもん相手に、どうしろってんだ!」

まじで、男として軽蔑する。 命を賭けても彼女を守るのが彼氏の役目だろ!

まぁ、彼女居たこと無いけど……


「くぅ……」

「なんでお前泣いてんの? 」

「なんでもない! 」

「なぁ、こんな状況だからあえて言わせてくれ! 」

「なんだ? 」

「ちくわってなんで真ん中に穴が空いてるんだ? 」

「焼くときに棒に付けて焼くから焼き終わって、棒を抜くと

そこが穴になるんだ」

ん? なんの話?

「へぇ~物識りだなお前」

「えっ? なんで今それ聞いた? 」

「なんとなくだ」

て、言うかそろそろいいだろ、試しに後ろを向いてみよう

「ギシャーーー!! 」

なんか、前回と違ってめっちゃ追ってくるー!!

考えろ……

「しょうがねぇな! 俺の能力を使うしかないな! 」

「えっ! お前なんか打開策あるのか!? 」

「ふっふっふ俺を誰だと思ってる! 」

「嵐くんだろ? 」

「うるせぇ! 」


まぁ、打開策があるならそれに越したことは無いな

「早く使えや! 」

「うるせぇ、集中させろ! 」

「そろそろ体力が限界なんですけど!? 」

「〈分身創造クリエイトアバター 〉木羽嵐牙きばねらんが!」

嵐牙がそう叫ぶと、蛍の光が集まるように嵐牙と

全く同じ物が出来ていく

「行け! 俺の分身! 」

「えっ!? えっ!? 」

「ふっふっふ…… どうだ! 俺の最強の能力! 分身創造! 」

「お前もう一人!? えーー!! お前! 」

「彼奴の気を引け! 俺の分身! 」


嵐牙の分身は合成獣の前に行き、合成獣を

すごい勢いで蹴っ飛ばした

「キュアーー」

「よし! ナイス分身! 」

「お前の分身強っよ! 」

「どうだ! 言っただろ! 最強の能力だって! 」

うさぎ木の枝を上手く使い、分身の首に噛みついた

「あーー!! 俺の分身がー! 」

「ごめん、訂正するわ、出落ち乙 」

「はぁ!? お前なんか出来んのか!? 」


う~ん? って言ってもなんかあるか? 回りを見渡して、

使える物、使える物、何もねぇな!?

「早くしろよ!! 」

「るせぇ!! 」

あっ! あれは! 熊!

「〈創造クリエイティブ〉小石!」

「お前! その能力! いつの間に小石なんて拾った! 」

一か八か当たれ!

コツン

「グォォォォォ!!! 」

「お前バカか! なんで熊を刺激した! 」

「熊を刺激して、うさぎ戦って貰う!」

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