魔王について

「なぁ、その話もっと詳しく聞かせてくれよ」

大柄な男と、俺より少し大きい細身の男が魔王の話をしている

「なんだぁ? 魔王に興味があんのか? 」

「あぁ、魔王を倒すために冒険者になったんだからな」

「威勢がいいな、君魔王がどんな奴か知ってるのかい? 」

「いや、全くしらない」

「ぷっ……あははははは!! お前魔王をろくに知らないで

魔王討伐なんて掲げてんのか!? 」

知るわけねぇだろ! 魔王の話なんて町の人が喋ってるの聞いたことねぇーよ!

「いいぜ特別に教えてやるよ。お前名前は? 」

「倉本進」

「俺の名はグース」

「私の名はアイン」

「よろしくな進! 」

「おう、よろしく」


「まず魔王が昔二人居たのは知ってるか? 」

魔王が二人! 世界がなんで滅ばなかったんだ?

「東の魔王グラウゴス、西の魔王アヴィル」

「こいつらはお互いに対立していて、年中戦争してやがった」

魔王同士で戦争か

「だがある日を境に戦争は終った。我らが王であり騎士長!

キリーグ・レイ・スフィンド様が東の魔王グラウゴスを倒したんだ」

「そして、グラウゴスは五人の大魔法使い、三人の賢者、

そして二人の大賢者によって封印されたんです」

「なぜ殺さなかったんだ? 」

「グラウゴスは不死身の命を持っています殺すことはできないでしょう」

「だが、封印はできる。 魔力が空のうちに封印しちまえば、復活はできねぇ」


「だが、グラウゴスが持っていた悪魔の杖が無くなっていたんだ!」

「王曰く、杖に触れようとした瞬間どこかに消えてしまったと」

杖が消えた? 杖の能力なのか?

「ところで、悪魔の杖ってなんなんだ? 」

「お前悪魔の杖も知らねぇのか!? 悪魔の杖は一言で言えば、無敵の杖だな」

「悪魔の杖は持ち主の身体能力、魔力量、魔法の威力、全てが比にならない

くらいに底上げされる。」

「例えばだ、赤子に悪魔の杖を持たせたとしても、

1つの町を滅ぼせる程の魔法が撃てる」


「例えばの話だがな悪魔の杖には条件がある」

「条件?」

「悪魔の杖は一定の魔力、身体能力が無いと体が

悪魔の杖に支配される」

「杖に支配? 」

「あぁ、杖を扱う資格が無いと杖の守護者になるんだ」

「杖の守護者に? って事は杖は封印されてるんだな」

「あぁ、悪まで言い伝えだがな」

「だが、グラウゴスは封印を解き杖を物にした」

「アヴィルとグラウゴスの差はかなり開いたはずだったが

アヴィルは全身を改造して、合成獣キメラにしてやがった」


合成獣!? と言えば、ライオンの体に、蛇の尻尾、

背中に羊の魔獣だよな?

「その、合成に使ったのが伝説の魔物、リヴァイアサン

ファフニール、フェニックスだ」

名前的に強いな、全部有名な伝説の生物だな。 てか! この世界、竜とか不死鳥居たの!

めっちゃ見たい!! 子供の頃の夢の 《不死鳥に水をかけたらどうなるの?》 をようやく試せる!

「グラウゴスは不死身の命を持っているんだよな? 」

「あぁ」

「なら、アヴィルはどうなんだ? フェニックスを取り込んだなら

やっぱり不死身なのか? 」

「どうだろうな? フェニックスは不死身の命を持つって言われてるよな」

「おそらく不死身でしょうね」


「それじゃあ倒す方法は封印しかないのか? 」

「無い事はない」

「あるのか!? 」

「何処かにある相手の能力を完全に打ち消す、伝説の鉄がある」

そこは、剣とかにしようよ……

なんで、加工前なん? 加工後なら使えるけど、加工前は鍛冶屋に行って、作ってもらう

必要があるやん……

「例えばだ、その伝説の鉄で作った武器でアヴィルを攻撃するとどうなる? 」

「それはよく知らんが多分、攻撃したところが再生しなくなる」

「まて、魔王は再生するのか? 」


「合成獣は高い再生能力を持ってるいますから再生をします」

「お前本当に魔王討伐するきあんのか? 基礎知識もろくにねぇじゃあねぇか」

異世界転生して、まだ1週間たってないし……

図書館とかあるなら行くけど、ここら辺にないし……

そもそも、書物なんて売ってる店ないし……

「おい、いくらなんでも言い過ぎだグース」

アインめっちゃ優しいじゃん! 惚れそう

「すまないね進くん。こいつは基本良い奴なんだがどうも

口が悪くてな」

「あぁ、大丈夫だ。気を使わせてすまなかったな」

「隊長! ご報告します! 」

「なんだ」

「グース隊長もおいでしたか! 」

「おう何の用だ? 」


「すまない進くん席を外してくれないか? 」

「わかった、後でまた話を聞かせてくれないか? 」

「勿論だとも」

いま隊長って言わなかった? あの二人隊長なの!?

確かに普通の兵士だとは思わなかったけど、分隊長とか、

じゃなくて、隊長!! かっこよ! いきなり二人が眩しく見えてきた

しかし、結構有力な情報が聞けたな情報を整理しよう

1つ、魔王は二人居た

2つ、いま居る魔王は合成獣

3つ、魔王は再生する

4つ、魔王は不死身の命を持っている

5つ、魔王は悪魔の杖を持っている

6つ、アインはめっちゃ優しい


「終ったか? 」

「あぁ」

「一応お前にも伝えておくこれも何かの縁だ」

おっ、グース本当に口が悪いだけで良い奴なのか?

「最近パーシャの森でウサギの魔物が目撃された」

ウサギの合成獣? あれか!!

進の脳内ではこの時、ウサギに追いかけられた恐怖が甦っていた

「ウサギの強さは野生の熊を遥かに凌駕する強さだ

魔王討伐の前に死にたくないなら、見つけても決して戦うな」

あんな奴と戦おうと思う程バカじゃねぇわ!


「ほら、子供はもう帰れ」

「まだ、話は途中だろ!? 」

「また今度話してあげるよ」

「まぁ、そう言う事ならわかったよ……」

「じゃあな! 進」

「またね進くん」

「じゃあまたな」

まぁ今回は大量に情報が聞けたから、よしとするか……

色々と情報も聞けたし、程よく体も暖まってるから

今日はよく眠れそうだ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る