初クエスト

初クエストは、やっぱりワクワクするな。

その前に能力がどの程度か確認しておかないとな

だけど、どうやって能力なんて使えばいいんだ?

「お … い …きこ… る…か……」

なんか、頭から声が聞こえる……まさか!

幻聴!! はぁ~ストレスかな……

「幻聴じゃないわい! 」

「うわぁ! ビックリした! この声は爺さんか! 」

「久しぶりじゃの進」

「爺さんの声が頭の中に聞こえるぞ」

「ほっほっほ、はしゃぐのはいいが、時間があまりない

テンポよく説明するぞ」

「説明って能力の使い方か? 」


「おっ、話が早くて助かるのぉ それじゃあまず

創造したい物を頭の中にイメージするんじゃ」

「なぁ、爺さん創造するにも条件とか代償とかあるのか? 」

「条件は、自分に見合った物しか出せないって事と、

生物は絶対に創造してはならないって事じゃ

まぁ、今のお主が出せるのは限界で石の武器か木の武器じゃの」

石か木の武器か心許ないが無いよりましか レイブンから貰った金で

買えたのは小型のナイフだけだったからな

「じゃがいまのお主では、生命を創造するなど到底不可能じゃ」

なんか、勘にさわる言い方だな

「代償じゃが……」

「爺さん? おーい爺さん?」

急に声が聞こえなくなったな?

代償は怖いけどやってみるか


「〈創造〉石の槍! 」

そう進が言うと進の手のひらのから魔方陣が出現し

そこから、進がイメージ通りの石の槍が出てきた

まじで、出てきた! 進が石の槍を手に取る

「意外と重い」

それもそうか、1.3メートルはある石の塊を持ってるんだからな

武器も持ったし行くか! なんだか腹が減った気がする……

狼を食うのが楽しみだ!!

そろそろ狼が出て来てもいい頃だろ


今回来てるのはパーシャの森と言うところで

比較的魔物の出現率は低いが獣がよく出るらしい

森は驚くほど静かだった

ガサ

進の前の茂みが動いた

進はとっさに槍を構えたそして、茂みを退けると

そこにいたのは茶色のウサギだった

「何だうさぎかビックリして損した」

だが、ウサギの後ろには進より遥かに大きい熊が倒れていた

「嘘だろ!? 」

進が一歩下がるとウサギがピョンと近づいてくる

「こいつがやったのか!?」

進が後ずさると

「ギィシャー!! 」

先程の可愛い外見とは全く違い奇声を上げ、牙を剥き出しで襲ってくる


「ギャー!! 」

やばいやばい! 確実にやばい! 絶対狼より強いだろ!

進は全力で逃げると気づいた頃にはウサギの姿はなかった。

「ふぅ、どうやら逃げ切れたようだな」

進がその場に座り込み息を整えていると、

進の後ろの茂みから

「ワォーン!! 」

狼が飛び出してきた

「うわぁー!! 」

進は運よく避けることができた

まだ、ウサギから逃げたときの疲れが残ってるのに

落ち着けこっちの方がリーチは長い


狼は進との間合いをどんどん詰めてくる1.5m辺りまでくると

狼は吠えながら一気に進に飛びかかる

「これでも食らえ! 」

進は狼に向かって槍を突き刺した狼は槍を素早くかわすと

進の脹ら脛ふくらはぎに噛みついた

「痛った! くない?あれ? なんで痛くないんだ? 」

レイブンにもらった鉄のレギンスのお陰で狼の歯は脹ら脛に到達していなかった

「サンキューレイブン! 」

尽かさず進は石の槍を狼の首に突き刺した

「キュアーーー! 」

狼は断末魔の鳴き声を上げ絶命した


「ふぅ、死ぬかと思った」

今からこいつの頭を取るのかグロいなその前に!

「〈創造〉 石の板! 」

ナイフで剥ぎ取って、石の板で狼の焼き肉をいただこう

進が狼の死体を剥ぎ取ろうとした時

あっ、進の視界が激しく揺れる

「なんだ急にこれは、目眩か」

気持ち悪い、目の前が揺れてる用だ

まともに立っていられない


「す … む … だい … か! 」

この声は爺さんか……

「進! 聞こえるか! 生きておるか!?

今から言う事に従って行動するんじゃ」

わかったどうすればいい?

「何か食べ物を食べるんじゃ、なんでもいいカロリーを取るんじゃ」

カロリーってパンとかご飯があれば良いだが……

ちょうど良いものがあるな目の前に!!


「腹が減った早く何か食い物を食わなきゃ死ぬ……」

進は狼の腹をさばき腹の肉を剥ぎ取り、簡易の炎魔法が起こせる石を

ぶつけ火を起こした

「後は狼の肉を石の上に乗せれば……」

ジュー

肉が石の上で焼けている

「〈創造〉木の箸……」

進は創造すると更に目眩が激しく吐き気を催す程に飢餓感が増した

「早く焼けてくれ……」

ジュー

「やっと焼けたな、いただきます……」


進が狼肉を口に入れると、レイブンが食わせてくれた狼肉とは全く違い

獣臭く、肉は硬い、味は不味いで災厄だったがそれでも進は食べるしかなかった

「不味いが仕方ない」

不味い不味い不味い、だけど何枚か食ったら目眩も少しずつ楽になってきたな

不味い不味い不味い不味い不味い、レイブンが恋しい

流石に内臓は止めといた方がいいよな?


「ごちそうさまでした」

周りが狼の血の匂いで鼻を刺すような臭いがするな

狼の頭をギルドの受付に持ってけばいいんだよな

進は狼の頭をギルドから支給された布に包み手に持った

うぅ、ここにさっきまで生きていた狼の頭があるのか

やっぱりグロい


幸いここからギルドまではそんなに遠くないあっても1kmくらいだろ


「進、体調はどうじゃ? 」

「爺さんのお陰でまぁまぁ良いよ」

「そうか、良かった」

「ところでなんで急にあんな事になったんだ? 」

「それがお主の能力の代償じゃ」

「目眩とか吐き気がか? 」

「厳密に言うと違う。

カロリーを持っていかれるのじゃ 」

「カロリーを? 」

「うむ、創った物に応じたカロリーを持っていかれるのじゃ」

だから、石の槍を創った時に腹が減った気がしたのか


「だから、能力を使い過ぎると餓死する」

「餓死するのか! 」

「当たり前じゃ、辛いぞ~餓死は普通に死ぬより辛いって言うからのう

まぁ生き返らせてやるが、最初に言った通り復活にも限度がある

死に過ぎないよう気をつけて生きるのじゃぞ! 」

そう言うと爺さんの声が聞こえなくなった。


爺さんと話してたお陰でそろそろギルドにつくな……

「お帰りなさい進さん」

エルフのお姉さんが出迎えてくれた

「狼一頭倒してきましたよ! 」

布に包んだ狼の頭をエルフのお姉さんに渡した

「はい確かにそれではこちらは、報酬の1000GALAです。」

「あっ、それと狼の毛皮を持ってきたんですけど」

「そちらは、素材屋の方で売買はなさってください。」


「素材屋はどこにあるんですか? 」

「素材屋はギルドを出て突き当たりの角を左に曲がって、路地裏に入って下さい。

その路地裏を数メートル進んでいただくと素材屋と書かれた看板が御座いますので、

その店に入って下さい。」

長い結構ながかった。 まぁ、端的に言うと突き当たりの角を左に曲がればいいんだろ?

「わっ、わかりました。 後次のクエストを選びたいんですけど? 」

「ただいま駆け出しで受けられるのがスライム討伐か、ゴブリン討伐しか御座いませんが

宜しいですか? 」

ゴブリンかスライムかぁ~両方とも不味そうだな

「あの、巨大鶏のクエストってもう無いんですか? 」


「巨大鶏は、我々の想定を上回る凶暴さなので駆け出しでは、

難しいと言う判断を致しました。」

鶏なのに、この世界の鶏はそんなに強いのか?

「じゃあ、スライムの討伐を受けさせて貰えますか? 」

「よろしいのですか? スライムは物理攻撃があまり効果がありません」

物理に強いのか…… 俺のできる攻撃は物理攻撃しかないし

「じゃあ、ゴブリンのクエストを受けてさせて貰えますか? 」

ゴブリンは流石に倒せるだろ


「こちらのクエストは駆け出しの中でも最高難易度と成っております。」

ゴブリンが!?

「ゴブリンは他の魔物にはない程の知性を持ち合わせており、この季節のゴブリンは洞窟に籠っています。」

ゴブリンって雑魚じゃないの? 俺が知ってるRPGだとゴブリンとスライムって雑魚の代表じゃん

って、ん? 季節? この季節って言ったのか? って事は今の季節がやばいだけで、他の季節になれば

雑魚も出てくるって事だよな?

「如何なされますか? 」

「いまの俺でも受けられる簡単なクエストはないですか? 」

「討伐は厳しいですが、運搬、清掃、工事、等がございます。」

異世界って言ったら魔物と戦うのが普通だと思ってたけど現実はそんなに甘くないな

「ちょっといいかな? 」

カウンターの奥からクライさんが顔を出してきた

「ギルドマスター、如何なさいましたか? 」

「進くんに指名クエストが入ってるよ」

「指名クエストってなんですか? 」

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