六章 それぞれの結末 その1
それから俺は一人でとぼとぼと家に帰ったが、中に入る直前、郵便ポストに入っていたとあるチラシに目がとまった。近くの遊園地のものだ。最近リニューアルしたそうで、その記念の割引クーポンがついている。
遊園地か……。俺はそのチラシを自分の部屋に持って帰った。
「なあ、アーサー、お前、テレーズとデートしてみないか?」
『デート? 日付のことでござるか?』
「ちげーよ。最近は男と女が外に遊びに行くことを言うんだよ」
これだから六百年前の人間は……。
「ここにちょうど遊園地と割引クーポンがあるんだ。一日ぐらい、テレーズと一緒に遊んでみたらどうだ? そうしたら、お互い打ち解けて、大事な話もしやすくなるだろ?」
『な、なるほど……妙案でござるな』
アーサーは俺のアイデアにたちまち胸を高鳴らせたようだった。一心同体の俺にはこいつの気持ちはなんとなくわかるのだ。好きな女とデートするっていうんだから当然だよな。
「じゃあ、決まりだな。向こうにも俺から話しておくわ」
俺はさっそくスマフォを取り、紅葉の家に電話した。
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