五章 二人の気持ち その1
それから、俺はその日のうちに学校で紅葉を捕まえて、アーサーの説得に成功したことを伝えた。その言葉はおそらく紅葉の中に眠るテレーズにも届いたはずだった。だが、紅葉が眼帯を外しても、彼女は表に出てこなかった。まだ落ち込んでいるのだろうか。
と、そのときちょうど俺のスマフォにアンネからメールが来た。体の内側に引きこもった霊をあぶり出す秘密道具を祖母からもらったのだという。それでテレーズお姉さまと他一名(原文ママ)を強制召喚できるかもしれないという。確かにそれがあれば、なんとか霊の二人を再び会わせてやれそうだ。でもなんか、害虫みたいな扱いだな、霊……。
とりあえず、その日の放課後、俺達は再び例の公園で落ちあった。俺が公園に着いた時はアンネも紅葉もすでにそこにいて、同じベンチにまあまあの距離を隔てて座っていた。今は紅葉は眼帯をしていなかった。
「それで、秘密道具っていうのはいったいどういうものなんだ?」
「これです」
と、アンネは制服のスカートのポケットから何か小さなものを取りだした。小瓶のようだった。中にはほんのり赤い液体が入っている。
「この液体のにおいをかぐことで、体の中の霊を外に呼び寄せることができるんです」
「じゃあ、さっそくやってくれ」
「はい」
アンネは紅葉に小瓶を手渡した。紅葉はすぐに小瓶を開け、中の液体のにおいをかいだ。
変化は直後に現れた。紅葉は「あ……」と小さく声を漏らすと、ベンチの背にぐったりともたれかかってしまった。なんだか顔は赤くなってるし、息使いも荒くなっているような。半開きの瞳はうっすらと潤んで、どこかをぼんやり見つめている……。
「おい、何か様子が変だぞ? これでいいのか?」
「はい。きっとすぐにテレーズお姉さまが現れるはずです」
だが、しばらく待ってもその気配は全くなかった。紅葉は相変わらず顔を赤らめてぐったりしているだけだ。少し汗ばんできてもいる。時折苦しそうに息を吐いては、手足をもぞもぞと動かしている。その目つきはやはりどこか熱っぽい……。
「な、なんか……」
エロいな! 思わずその媚態に見入ってしまう俺だった。
「そろそろだと思うんですけど、変ですね? 小日向先輩大丈夫ですか?」
アンネはふと、そんな紅葉に近づいた。そして、「なんだか苦しそうですね」とつぶやくやいなや、いきなりその小さな胸を両手で揉み始めた!
「小日向先輩、しっかりしてください」
もみもみもみ。両手の指をフルに使って、紅葉の乳を揉みしだいている……。
「あ……やだ……そんなとこさわっちゃ、だ……め……」
「え? こうですか?」
もみもみ、もみもみっ! もだえ始める紅葉に、さらにアンネは追撃する。
「やっ……そ、こは、だめっ! あ……んっ……」
体をびくっと痙攣させながら、紅葉はアンネの手を振りほどこうとじたばたした。だが、手足に力が入らないのだろう、その抵抗は弱弱しく、アンネのさらなる責めに屈するだけだった。アンネの指は的確に紅葉の乳の最も弱い部分、頂をぐりぐりといじり続けている……。
「お、お前、何やって――」
さすがに突っ込まざるをえない。なんかむらむらしてくるし!
「何って、小日向先輩が苦しそうだから、介抱しているだけですよ」
「え? そ、そう……」
そうか。医療行為か。なら別に何も問題は――って、あるだろ! ただ見てるだけの俺の立場はどうなるんだよ! 俺もおっぱいさわりたいよ!
「お、俺に手伝えることはないかな――」
「ないです」
「え……あ、はい……」
じゃねえよ、クソが! なんでてめーら、こないだから俺をそっちのけで女同士で乳繰り合ってんだよ! 何もかもおかしいだろうがよ!
よし、こうなったら、紅葉の乳を揉んでいるアンネの巨乳を俺が後ろから揉んで、乳揉み三連結を作ってやる。これも医療行為の一種なんだからな! お前がそう言ったんだ、覚悟しろアンネ(の大きなおっぱい)! そろそろとアンネの背中に回り、両手を前に突き出す――と、そこで、アンネの制服のスカートのポケットから一本のひもがはみ出してるのに気づいた。何だこれ、スマフォのストラップか? とっさにそれを引っ張ってみると、ポケットの中からさらにもう一個、小瓶が出てきた。さっきのとは違って、ほんのり青い液体が入っている。
「あ、立川先輩、それ!」
「え」
「それですよ! それ!」
アンネはただちに俺の手からそれを取った。そして、「あたし、間違えてました。実はこっちが霊を外に出すお薬でした」と言った。
「え……じゃあ、さっきの赤いほうは?」
「それはその……企業秘密です」
てへぺろっ、と舌を出してごまかすアンネだった。いや、あの、一体何の薬だったんだよ。超気になるじゃんよ……。
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