四章 それぞれの仮面、それぞれの本音 その4
「あんたって本当サイテー! そんなの絶対舐めるわけないでしょ、変態!」
「つまりお前は自分の言葉の正しさも証明できない子供だと認めるわけだな」
「そ、そんなわけないでしょ!」
紅葉はその名の通り、真っ赤だ。煽り耐性ゼロって感じだ。
よし、ここはさらに攻めるか……。
「せっかくだ。素敵なトッピングをここに添えてやろう」
「トッピングって、これ以上何を……」
「まあ、見てなさい」
片手でソーセージを股間に固定しつつ、もう片方の手でさらにポケットからあるものを取り出す。それは――みんな大好き、白濁液、練乳! 魚肉ソーセージ同様に、そのパックも一緒に持ってきていた俺だった。
俺はさっそく片手と口を使ってそのふたを開け、股間でむきだしになって直立いる肉棒のピンク色の先端にその中身を垂らした。とろとろと。
「さあ、どうでしょう? 甘くてとても口当たりがよくなりましたよ?」
「な、なにしてんのよ、あんた……」
紅葉は怒りや恥ずかしさを通り越して、戦慄しているようだった。
「いいからしゃぶれよ」
「嫌よ!」
「しゃぶらねえと、本当はお前の彼氏が実在しないと言いふらすぞ」
「きょ、脅迫するつもり?」
「お前は黙って上の口でくわえりゃいいんだよ。ほれほれ、ほれほれ」
腰を動かし、白濁液まみれの股間の肉棒をさらに振った。ぷるぷるっ!
「っ……!」
紅葉は心底忌々しげに下唇を噛んで、俺をにらんだ。その肩は怒りで小刻みに震えている。だが、やがて覚悟を決めたのだろう、ゆっくりと俺の股間に顔を近づけてきた。おお……これは……。
ぺろっ!
それはまるで棒状のアイスキャンディーを舐めるようなやり方だった。しかも、ちょっと舐めただけで離れてしまった。何それ?
「こ、これでいいでしょ?」
「いいわけあるかよ。こんなのどこがフェラだよ」
「うるさいわね! 言うこと聞いたんだから、とっととそのソーセージしまいなさいよ!」
「ダメだね。ちゃんとこれを口に入れないと」
俺は再び腰を振り、肉棒を振動させた。そして、そのままじわじわ紅葉に詰め寄った。
「バ、バッカじゃないの……」
紅葉は俺の勇姿にもはや恐怖すら抱いているようであった。しかし、俺はもう止まらない! さらに紅葉に歩み寄る!
「いや、こないで……変態!」
紅葉は後ずさり始めた。逃がすか。股間の肉棒を前に突き出しながら、揺らしながら、それを追う俺。さらに加速して逃げる紅葉。さらに加速し、さらに肉棒を揺らして迫る俺。そのまま数メートルほど俺達は移動し続けた。じわじわと。
そして、唐突に紅葉は、かかとを石にぶつけて後ろに転び、尻もちをついた。その体勢はまさにあの日俺がモロマンを拝んだ時と同じ、無様なM字開脚だった。
だが、この女が常にスカートの下にショートパンツを履いていることはすでに掌握済み! 今はそのめくれたスカートの下に目をやっている場合ではない! そう、これはチャンス! 今は前進あるのみっ!
俺は両足をぴったりくっつけたまま(開くと肉棒が下に落ちてしまうからな!)ジャンプし、紅葉の大きく開かれた脚の間に着地した。そして、そのまま腰を前に突き出した。くらえっ!
ズボッ!
入った! 初めてなのに入っちゃった! 紅葉のお口の中に俺の股間のむきだしの肉棒(白濁液まみれ)が挿入されちゃった! やった、俺やったよ、父さん! 俺は今、一皮むけてちょっぴり大人になったよ……。
「ん……ぐ……」
紅葉はいきなり口の中に肉棒を突っ込まれて目を白黒させているようだった。
「オラオラ、よく味わえ」
片手を添えて、さらにその口の奥に肉棒をねじ込む――が、
「い、いい加減にしなひゃいよっ!」
紅葉は魚肉ソーセージをくわえたまま、ものすごい勢いで俺の股間からもぎ取り、そのままむしゃむしゃと食べてしまった。
「おおう……お前はなんということを……」
何か大切なものを失った気がしてとっさに股間を押さえてしまう俺だった。紅葉はそんな俺を見て「バカじゃないの」と吐き捨てた。ゴミを見るような、心底俺を軽蔑しきったような目だった。
「いや、お前は今、俺の心のチンコを食べたんだぞ。なんと猟奇的な――」
「ただの魚肉ソーセージでしょ!」
「で、美味しかった?」
「美味しいわけないでしょ! 練乳なんかかけて!」
「ですよねー」
ははは。自分でもこの組み合わせはどうかなって思ってたんだよねー。
「もう二度と私に近づかないで、声かけないで。ついでに息しないで」
紅葉は俺をにらむと、そのまますたすたと向こうへ去って行く――が、数歩歩いたところで、ふと思い出したように俺に振り返って尋ねた。
「ところで、あんたの相棒のアーサーとかいう外人もまだ表に出てこないの?」
「さあ? 俺、呼吸できないから答えられんなあ」
「いいから、私の質問に答えなさい!」
「……そうだな、まあ、お前の相方と同じ状態だ」
俺は苦笑いしつつ、左腕の包帯を取って、紅葉に見せた。封印の包帯を取っても、やはり俺は俺のままだった。
「告白したテレーズはともかく、なんでこいつも引きこもったままなんだろうな?」
「なんでって、あんた気づいてないの?」
「なにがだよ?」
「あれだけわかりやすい反応も、そうはないと思うけど」
「だから、何がだよ。言えよ」
「これだから童貞は。そんなこともわからないなんてね」
紅葉は俺をあざけるように鼻で笑った。そして、ぷいっとまた俺に背を向けて、足早に向こうに去って行ってしまった。
「いや、俺の質問に答えろよ……」
その場にぽつねんと一人残された俺は、そうつぶやくほかなかった。
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