一章 邪気眼少年と眼帯少女 その5

 それから、俺はまた何事もなかったかのように中二病を演じるだけの日々を過ごすことになった。しかし、時折あの場所で見たパンティの切れ端が頭をよぎるのだった。ビッチと聞いた時は意味不明に憤慨してしまったものだったが、よく考えたら、あいつはお手軽にエッチなことさせてくれる天使じゃないのか? 貞操観念とかおカタイものは捨てて、もっと自由に考えるべきじゃないか? 例え童貞と罵られようとも、俺はあいつと何らかの関係を結ぶべきだったんじゃないか、あの場で? 次第に後悔の念が渦巻いてくる。なんだかんだと小日向紅葉とか言う女は可愛いのだ。パパ活女だろうと、性悪だろうと、俺にパンティ見せてくれたのだ。幸せだった、あの一瞬。もっと見たい触れたい揉みたい舐めたい……。


 つか、パパ活女なら、金さえ払えばエッチなことしてくれるってことか?


「そ、その手があったか!」


 我ながらうかつだった。あの女の体は金で買える! 悩むことなんか何もないじゃないか。金さえあれば、このもやもやは解消され――。


「って、俺、今金ほとんどなかったっけ……」


 新作のゲームに漫画の新刊買ったばかりだから。はあ。


『幸人殿、何やらお金に困っておいでのようでござるな?』


 脳内でまた例のうるさい声が響く。


『そういうときは質屋でござるよ。何か金目の物を持っていくとよいでござる』

「いや、質屋とかいきなり言われても……。だいたい金目のものなんてねえし」

『では、労働でござるな。働いて対価を得るでござる』

「バイトか。うーん……」


 そういえば、ゲーム買った店にバイト募集の貼り紙あったな。高校生以上って書いてあったし、ダメもとで当たってみるかな。


 そういうわけで、俺はその日の放課後、そのゲーム屋に向かったのであった。

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