第24話 勇者が来た
リンカネット帝国兵を退けた一ヶ月後、再びリンカネット帝国の侵攻が始まった。前回はバロン王国を舐めた数しかいなかったが今回は違う。遂にリンカネット帝国は本気で侵略にやってきた。
リクトは魔法で姿を消し、上空からリンカネット帝国兵を調べた。
「……いない……か。そんなに勇者を帝国内から出したくないのか? それとも……まだ舐められているか……か」
リクトは自陣の砦へと戻り姿を元に戻した。
「リクト公爵様、あちらに勇者は?」
「いなかったよ。ってか公爵様はやめい」
「そ、そう言うわけにはいきませんよ! あまり苛めないで下さい」
「別に苛めてなんかねぇっつーの。俺はそんな敬われる人間じゃないんだからさ。公爵の地位だってコレで得たようなもんさ」
「ははは、御冗談を。それより……到着はいつ頃になりそうですか?」
リクトは足場と進軍速度から計算し、到着時刻を割り出す。
「早くて明日の朝。行軍の疲れを癒してから攻めて来るとなると……正午あたりだな」
「なるほど。では我々はただ待つとしましょう。リクト様、今回もリンカネット帝国兵にリクト様の力を思い知らせてやりましょう!」
「清々しいまでに他人任せな?」
「はっはっは。では明日の正午までは我が隊から選りすぐった者をお楽しみ下さいませ」
隊長はリクトにそう告げ建物の中に移動していった。残されたのは騎士に成り立てだろう少女たち。少女たちはリクトの前に並び顔を赤くして前垂れを捲し上げていた。
「選りすぐったねぇ……。別に望んでないんだけど……」
少女の一人がリクトに言った。
「ど、どうか使って下さいませっ!」
「お願いしますっ!」
「選ばれるの大変だったんですよ?」
「私達全員初物で成人したばかりの見習い兵士なのでっ!」
「ここで楽しみながら夜襲がないか警備しましょう、リクト様っ!」
何を言ってるんだろうなぁ。ま、可愛いし良いか。
「よし、なら外壁に沿って一列に並んで尻を突き出せ。端から順番に味見しよう」
「「「「はいっ! リクト様っ!」」」」
少女たちは微塵も嫌がる素振りを見せない。それだけリクトの存在はバロン王国で大きなものとなっていた。
リクトは宣言通り端から端まで後ろから貫いてやった。少女たちは警備も忘れ行為に夢中になっていた。
「あ、だめですリクト様っ! 果てるならそのままじゃないとっ!」
「良いのか? 孕むぞ?」
「もちろんですっ! むしろ皆それが欲しくて志願してっ……くぅぅぅぅんっ!」
リクトは要望にしっかりと応えてやった。その時だった。突如暗闇に光る鎌が浮かび上がる。
「【プロテクション・シールド】!!」
「っ!?」
「な、なんです!?」
何者かが突然砦の上まで跳躍し攻撃を加えてきた。
「下がってろ。どうやら本命が来たようだ」
「「「は、はいつ!!」」」
突然現れた敵はまさか攻撃を防がれるとは思ってもいなかったのか少し離れた場所で首を傾げていた。左手に身の丈はあるかのような巨大な鎌を持ち、全身は黒い衣装、顔は仮面で隠されている。
「リクト様っ! 退避完了しましたっ!」
「ああ、続きはまた後でな?」
「……はいっ!」
見習い兵達を建物の中に移動させ、リクトは敵と対峙する。
「……【死神】だな? 待ってたぜ」
「……行く」
一言そう言うと死神は鎌を上段に構え一瞬で距離を詰めてきた。しかしリクトの魔法で攻撃はリクトに一切届かない。
「【神盾】……ほどじゃない」
「そりゃこっちは所詮魔法だからな」
「……それを切り落とすっ!」
死神の鎌は下半身を集中的に狙ってきていた。そう言えばしまった記憶がないな。
「すまんな、しまうのを忘れてたぜ」
戦いの興奮からか、リクトのソレは徐々に上向きに変わっていく。
「……ヘンタイ」
「しっかり見てるお前も相当な?」
「……死ねっ!!」
仮面を着けていたため表情はわからないが声から察するに女だな。しかもまだ若い。
「こんな子供を召喚して人殺しをさせる……か。帝国は最低だな。今解放してやろう」
「はぁぁぁぁぁぁっ!!」
死神の連擊が床や壁に亀裂を刻んでいく。だがリクトはまるで無傷だった。そればかりか何事もないかのように真っ直ぐ死神に近付き、胸ぐらを掴む。
「は、離せヘンタイ!!」
「【洗脳状態解除】」
「うっ……! あぁぁっ……あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
リクトがスキルを使うと死神の首輪が砕け散った。
「あぁぁ……あっ……」
「おっと」
リクトは倒れ込んできた死神を受け止めた。どうやら気絶してしまったらしい。
「マジかよ。おい、起きろよ! 話くらい聞かせろよ! ったく……。しょうがない。拘束して俺の部屋に連れて行くか」
リクトは死神の両手足を拘束魔法で縛り肩に担いだ。
「……軽いな」
砦の近くには偵察に来ていた帝国兵がいた。
「……音が止んだ? 何故門が開かない……。まさか……勇者が負けた? す、すぐに本体に知らせなければっ!」
偵察兵はすぐさま本体に合流し状況の説明をした。
「な、なんだとっ!? あの死神が捕まったかもしれないだと!? バカなっ!!」
「おそらくです。戦いの音が止んでも門は開かず死神も戻りませんでした」
「……あの死神が……。いや、少し待とう。あいつには隷族の首輪をつけてある。あれがある限りあいつが我らを裏切る事はない。どうにかして逃げ出してくるのを待とう」
「はっ!」
その首輪が既にない事も知らず、帝国兵は離れた場所で野営を始めるのであった。
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