第17話 動き出す運命

 リウムと村に戻った俺は前の家で朝まで休む事にした。だが、そこに先客がいた。


「ふぐぅっ! ……むぐっ! うぅぅぅぅぅっ!」

「へっへ……、オラッ騒ぐなよ? 今すぐこいつを捩じ込んでやっからよぉぉ……? ふひひひひひっ」

「ふぐぅぅぅぅぅぅっ!」

「チッ! 暴れんなオラァッ!」

「お母さんっ!」

「「っ!?」」

「おわぁぁぁぁっ!?」


 俺はリウムの叫びを聞いてすぐに男との距離を詰め、髪をつかんでリウムの母親から引き剥がし、壁に投げつけた。


「グボッ……! な、何しやがるっ!!」

「それは俺のセリフだ。この家はまだ売りに出しちゃいないぜ? お前こそ俺の家で何してんだ?」

「あぁ? ガキがうるせぇよ! 大人のやる事に口出ししてんじゃねぇぞゴラァッ!!」


 男が拳を握り殴りかかってきた。


「……バカが。【ゲート】」

「おわっ!?」


 俺は男の進行方向にゲートを開き、ダンジョン最下層へと転送し、ゲートを閉じた。これなら誰にもバレず、相手は魔物が処理してくれる。ありがたい上に楽だ。


「お、お母さんっ!」

「リウム……? リウムなのっ!? ど、どうしてここに……?」

「リクトが……。リクトが助けてくれたのっ!」

「リクト? あの男の人?」

「うんっ! オークションで私の事買ってくれて……。魔法で連れてきてもらったの!」


 母親はリウムを抱き締めながらこちらを見た。


「あの……、失礼ですが……私達の事情は?」

「全部知ってるよ。城勤めの時に王にヤられたんだろ? こっそり産んで今は追われてる。違うか?」

「……はい。けど……知っていながら何故? 相手は王子達……。逆らえば国からお尋ね者に……!」


 俺はリウムの母親を真っ直ぐ見て言った。


「気まぐれだよ。リウムがあまりに可哀想だったんでな。別に気にしなくて構わないよ。だがな、リウムの所有権は俺にある。虹金貨十枚で買った」

「に、虹金貨十枚!?」

「そうだ。返してやってもいいが……それには虹金貨十枚と交換か、俺の言う事を聞いてもらうかしてもらわないとなぁ……」

「に、虹金貨十枚だなんて……、払えるわけ……」

「なら俺の言う事に従ってもらおうかな」


 母親は俺をキッと睨んだ。


「……あなたも私の身体を……!」

「はぁ? まぁ……したいならしても良いが、嫌がってる奴相手は勘弁だ。俺の言う事は一つだ。俺の屋敷でリウムと一緒に暮らしてやれ」

「……え? は?」


 俺は溜め息を吐きながら母親に言った。


「リウムはまだ十二だろ。しかも自分を犠牲にするくらい母親を大事にしている。お前が死んだらリウムが悲しむだろうが」

「や、あの……え?」

「暗殺者だっけ? 狙われてんだろ? オークションでリウムに出会ったのも縁だ。俺がお前達をガードしてやるよ。なに、問題がなくなったら好きに出ていってくれて構わない」

「で、でもっ! 虹金貨十枚って……」


 俺はクスリと笑って見せた。


「嘘だよ」

「え?」

「虹金貨十枚くらいはした金だからな。でもまぁ……どうしても返したいってんなら屋敷で働いてくれても構わないぞ?」


 リウムの母親はポロポロと涙を溢した。


「うっ……くっ……。私達に……味方なんて……! この国に味方なんていないと思ってた! あなたは何故そこまでしてっ……!」

「だから気まぐれだって。俺ん家も母子家庭でなぁ……。母親のありがたみはよ~く知ってる。だから俺がお前らを守ってやるよ。誰が来ようと俺は大魔法使いだからなぁ。国まるごと相手でも喧嘩してやるよ!」

「ば、バカ……だよあなた……。私達に関わって……良いことなんて一つもないのに……!」


 俺は視線をゆっくり下にさげた。


「そうでもないぜ?」

「え?」

「優しくしてやったらいつかそこに入れるかもしんないだろ?」

「え? あっ!? いやぁっ! 早く言ってよもうっ!」

「ははははっ、あまりに良い眺めだったんでな。それより……そろそろ夜明けが近い。村が賑やかになる前に俺の屋敷に行こうか」

「……えっち」

「よく言われるよ」


 俺はリウムと母親をゲートで屋敷にの前まで連れて行った。


「わぁぁ……お城がある!」

「……屋敷ってレベルじゃないじゃない! 知らないの? 国内の城は王命でしか建てられないのよ?」

「それは知らなかったなぁ。だが、これは城じゃなく家。外観が城なだけの家だ。それで押し通す! 文句があるなら力で来いってんだ」

「……あなたも大概問題抱えてんじゃない……」


 母親は呆れていた。俺は二人を中に迎え、安き部屋を一つ与えた。リウムは助かって気が抜けたのかふかふかのベッドにダイブし、そのまま寝てしまった。


「疲れてたのね……」

「あんたもじゃないのか? 一緒に寝たら?」

「……寝たいけど……身体を拭きたいわ。あの男……身体中舐め回して……! お湯と布……貸してもらえます?」

「あん? なら風呂に入れば?」

「……お風呂まであるの? とんでもないわね……」

「案内する。ついてきな」


 俺はリウムの母親を連れ温泉に向かった。


「……ねぇ、なんであんたまで脱いでるの?」

「ああ、俺もオークション会場で隣にいた婦人にコレ舐め回されてなぁ~。洗っとこうかなってな」

「ちょっ……! なんでそんなになってんの!?」

「あん? そりゃ……あんたが綺麗だからだな」

「……バカ」


 俺達はそのまま脱衣場で繋がった。避妊魔法を使うと告げると、彼女は繋がったまま逝ってもいいと言い、足を回しながら抱きついてきた。俺は五回ほど繋がったまま果てた。


「本当に避妊魔法使ったんでしょうね?」

「使ってなかったって言ったらどうする?」

「そりゃあ……孕んでたら産むわよ。そして一生ここで暮らしてやるっ!」

「そっか。なら使わなきゃ良かったかな」

「……迷惑じゃないの?」


 俺達は繋がったまま湯に浸かっていた。


「迷惑なら最初から助けないし、抱かないっての」

「……あなたやっぱり変わってるわ。なら……今からは避妊なしでしてみなさいよ。一生迷惑かけてあげるんだからっ」

「言ったな? なら続きは俺の部屋でだ。移動するぞ?」


 俺は繋がったまま彼女を寝室まで運び、行為を続けた。


「ねぇ、やったら避妊して?」

「なんでよ?」

「その……まだしばらくこうしてたいから……。わがままかな?」

「別に? そう言うと思って避妊は続けてんよ。だから気にせず動いていいぜ?」


 そう言い、俺は彼女を上にした。


「何でもお見通しって顔ね。くやしいなぁ~年下の癖に生意気! 枯れるまで搾ってやるわっ!」

「ははっ、やってみな?」

「きぃぃぃっ! んっんっ…!」


 勿論俺が枯れるなんて事はない。

 二人の行為はたっぷり楽しんだ彼女が失神するまで続いたのであった。

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