第6話 怠慢
思わぬところでまたスキルを手に入れた。二人が起きたので軽く二人に口で奉仕してもらいつつ、俺は新たなスキルを確認することにした。
「……神様よ……このスキルはないんじゃないかい……? 世界を救わせる気はあるのか? ……救わないけど」
新たに手に入れたスキルは【性神】。いくらでもアレをする事ができ、枯れないというスキルだ。
「命が軽い世界だからガンガン増やせと? 神がなにを考えているかわからないなぁ……」
「……なんかリクトのコレ……一回りおっきくなってない?」
「うんうん。元から子供離れしてたけど……これはもう立派な大人のやつよねぇ……」
これもスキルのお陰なのだろう。二人とも上手すぎ。
朝から二人が満足するまで飲ませた俺は数日ぶりに家から出た。俺が金持ちだと知った二人が中々解放してくれなかった事から毎日家の中にいたのだった。
「あ~……なんだこれ?」
「数日で村がこんなに栄えて……」
「……これもう町よね」
たかだか公衆浴場一つ作っただけで村は町へと進化していた。戻ってきた村人に加え、近くにあった村からも人が流入し、既に人口は一万を超える勢いだ。
しかし、人が増えるという事は良い事ばかりではない。平穏だった村も人が増えた事で様々な問題を抱える事になった。
「や、やめてくださいっ!」
「あぁん? いいじゃねぇかよ~。ちょっとあっちの陰でな?」
「ば、バカじゃないのっ!? だ、誰か助けてぇぇぇぇっ!」
昼間から酔っ払ったオッサンが女に絡んでいた。人が増えると犯罪が増える。これも世の常だ。
「リクト……助けてあげないの?」
「俺?」
「ほらほら、連れていかれるわよ?」
オッサンが女を物陰に引きずっていく。女は叫びながら泣いていた。
「あぁっ、もうっ! 怠惰な生活が台無しだよっ!」
俺は無言でオッサンに近づくと今まさに挿入しようとしていたオッサンを女から引き離し、地面に放り投げた。
「いってぇぇぇぇぇっ! が、ガキがっ! 邪魔すんじゃねぇぞゴラァァァァァァッ!」
「あ……リクト……くん! 助けてっ!」
「はい? あぁ、よく見たら知り合いじゃないか」
女は昔村にいた一つ年上の知り合いだった。家族で隣町に引っ越して以来久しぶりの再会だった。
「帰ってきてたの?」
「ううん、ちょっとクエストで近くまで来たからついでにって。私今冒険者してるのよ。まだ駆け出しだけどね?」
「冒険者……。冒険者ならあんなオッサンくらい倒せないとだめじゃない?」
「うっ……。まだ駆け出しだって言ったじゃない。それに私はまだ採取とお使いしかしてないし……」
彼女と語り合っていると、地面に転がされたオッサンがふらりと立ち上がり、腰に下げた剣を抜いて叫んだ。
「邪魔しといてなに談笑してんだテメェ……! ガキが調子こいてんじゃねぇぞおらぁぁぁっ! 腕置いてけやぁぁぁぁっ!」
「リクトくんっ!!」
オッサンが剣を上段に構えて突進してきた。冗談かと思ったほど遅い。俺は人差し指をオッサンに向け魔法を連射した。
「【光の
「ぐあぁぁぁぁぁぁっ!?」
オッサンの全身に光の弾丸が当たる。腕、足、膝、肘、肩、腹と次々光の弾丸がヒットし、オッサンはまるで踊っているようにも見えた。もちろん加減している。本気で放ったらオッサンは今言った箇所を貫通されとっくに死んでいる。
「ほいっ、バク宙」
「んがぁっ!?」
最後にオッサンの額に光の弾丸がヒットし、オッサンは空中を回転して地面に落ちた。
「つ、強っ……!? リクトくんって魔法使えたの!?」
「まぁね。それより……あのオッサンどうしよう」
オッサンは気絶して地面でピクピクしていた。
「ここまだ警備兵いないのよね?」
「多分ね。最近栄えるようになったばかりだし。村長の家にでも連れていこうかな」
俺は気絶しているオッサンを引きずりながら村長の家に向かった。もちろん運べるがわざとだ。
「おや、リクト。それはなんじゃ?」
「村長、この酔っ払ったオッサンが無理矢理彼女を強姦しようとしていたので叩きのめして引きずってきました」
「強姦? ……はぁ、またか。最近犯罪が後を絶たぬのう……」
どうやら村長も困り果てているようだ。俺としても怠惰な生活を送るためにはこんな面倒事は後免被りたい。
「国から警備の騎士を呼ぶ事はできませんか?」
「うむ。ワシもそう思い国に手紙を送ったのじゃがな……昨日」
「は、はぁ……(行動が遅いぞ、村長!)」
「騎士が到着するにしてもまだ一週間以上はかかるじゃろう……。リクトよ、そいつはワシが預かろう。縛り上げて置いていってくれ」
「わかりました、村長」
俺はオッサンに亀甲縛りをプレゼントし、村長に渡した。
「な、なんとも珍しい縛り方じゃな!?」
「そうですかね? では村長、後はお願いします」
「うむ、助かったぞリクト」
俺は彼女と共に村長の家を出た。ちなみに母たちは危ないので先に家に帰した。身重の身体になにかあったら俺はオッサンを殺していたかもしれない。
「ありがとね! リクトくんっ!」
「うん、気にしなくていいよ。じゃあ冒険者頑張ってね~」
「ありがとうっ! いつかお礼するからっ!」
「気長に待ってるよ、じゃ」
俺はその場で彼女と別れ家に帰った。
「はぁ、どうして怠惰な生活が出来ないのかなぁ……。早くこい! そのために税金納めてるんだろう、全く……」
国は民から税を集める事で民を守る義務がある。こういった犯罪は騎士が取り締まって当たり前。
「国の怠慢だ、全く……。怠慢が許されるのは俺だけで良いってのに……」
俺はぶつぶつと文句を呟きながら帰路につくのであった。
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