第3話 衝撃の事実
「ここが音楽室。それでこっちは美術室だよ」
「一通り紹介し終えたし、どっかで休憩でもする?」
「そうだね」
一通り学校案内を終え、私たちは飯坂くんに今の状況を聞き出すために食堂に向かった。
「わざわざ僕のためにありがとう。なにかお礼をしないとね」
「お礼なんてとんでもない!でもその代わりと言っちゃなんだけど、聞きたいことがあって……」
「聞きたいこと?」
「うん。やっぱり飯坂くんって……」
そこからは私たちが「俺なれ」を読んでいたこと、その主人公が飯坂 海琴くんだったこと、飯坂くんは向こうの世界からこっちの世界に逆転生してしまったのか等の全ての疑問を飯坂くんにぶつけた。
「……そうだね。君たちは僕のこと知ってるんだね」
「君たちの言う通り僕達はこの世界に転生してきてしまったんだ。原因はまだ僕らもわかってないんだ」
やっぱり飯坂くんはこっちの世界に逆転生していた。それにしても僕「たち」ってことは逆転生してきた子は飯坂くんだけじゃないってこと?
「もしかしてなんだけど、転生してきた子って飯坂くんだけじゃなかったりする?」
「うん。他クラスにも僕らが出てるラノベの登場人物が転入しているよ」
やっぱり。でもどうしてこんなことが起こっているんだろう。どうにかしてみんなを元の世界に戻さないと……
「それと、僕のことは海琴でいいよ。飯坂くんってなんだか堅苦しいしね」
「え、いいの?」
「もちろんだよ」
はぁぁぁ。やっぱりかっこいいよ……
元の世界に戻してあげないといけないのはわかってるけど、戻ってほしくないなぁ。なんて、そんなのやっぱりダメだよね……
「私たちも自己紹介しなきゃね!
私は神楽 蛍!気軽に蛍って呼んでね」
「私は結城 凛。私のことも凛でいいよ」
「蛍、凛よろしくね」
んんんん、尊い///
やっぱり生海琴くんは眩しいよ……
「ねぇ、凛。やっぱり私たちで海琴くんが元の世界に戻れるよう手助けしてあげない?このままじゃやっぱりおかしいしさ」
私としては海琴くんがこの世界にいてくれるのは嬉しいけど、やっぱりこのままじゃダメだ。そもそも住んでる世界が全然違う。
「そうだね、私たちにできることはしてあげよう」
「いいの?みんな忙しいのに……。僕らに構ってる暇なんて……」
海琴くんはこんなときにも周りの心配をする優しい子。原作でもこの性格のせいで自分の思いが伝えられてない。私たちが力になってあげないと。
「私たちのことは大丈夫!それよりみんなが心配だよ。いきなり知らない世界に飛ばされちゃって…、怖いよね」
「……ほんとにいいの?」
「もちろんよ!困ったときはお互い様でしょ!」
海琴くんはとても喜んでいるように見えた。元の世界に戻っちゃうのは寂しいけど、それがみんなのためになるよね。
「2人ともありがとう。この先どうなるかわからないけど、元の世界に戻れるよう、一緒に頑張ろうね」
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