ハロウィンSS、2020

 

「というわけでカボチャプリンを作りました!」

「おお〜」

 今年の『ハロウィン』はカボチャプリン。

 ラナがガッツリ町で『魔除けのお祭り』を宣伝して広めたので、今年はうちの牧場まで『エクシの町』の子たちやファーラたちが『トリック・オア・トリート』をやりにくる事になっている。

 他にも砂糖を水で溶かしたものを、動物の形にして固めた飴細工。

 一口サイズのカボチャクッキーなどもラッピングして準備してある。

「これだけあれば足りるでしょう!」

「というか作りすぎでは? 一体いくつ作ったの?」

「えーと、なんか気分が盛り上がっちゃったから……百個くらい?」

 作りすぎである。

「本当ならコスプレもしたかったけど、お菓子作るのでいっぱいいっぱいだったから……これだけね」

「!?」

 かぽ、とラナが被ったのは…………なんだろう、カチューシャ……だとは、思うのだけど……。

 俺の知ってるカチューシャじゃ、ない。

 なぜなら、黒くて三角の猫のような耳がついている。

 …………は? なに? あれ?

「ラナさん」

「どうかしら! 気持ちコスプレ……じゃなく仮装してみたんだけど!」

「か、仮装……?」

「や、やっぱりダメだった?」

「イ、イヤ、ソンナコトハ……」

 ただ若干反応に困る。

 これなんて褒めたら正解?

「でもフランの衣装は一ヶ月前から用意してあったの」

「はい?」

「これは完全に私の趣味だから、自分の衣装とか完全に後回しにしちゃったのよね。じゃじゃーん、ドラキュラ」

「…………」

 どら……? え? なに? 架空のモンスター……?

 でも、めちゃくちゃ黒のタキシード……? は?

「え? ラナさん? これは……?」

「着て」

「え……」

「フランの吸血鬼コスプレが見たい!!」

 なんて迫真……!?

 ……でも、ラナが作ってくれたのなら……着ないわけにもいかない……。

「き、着ればいいの?」

「そう。お菓子は用意してあるわ。フラン用のあんまり甘くないやつ。でもフランはなんにも用意してないと思うから私はフランに悪戯する!」

「どういうことなの……!」


 着た。

 髪の毛編み込みにされるという悪戯をされた。





 おわり

***



【宣伝】

2巻発売中です。

電子書籍は今年もクリスマスイブという無自覚イチャイチャカップル。


今回のQRコード特典は活動報告にも書いたけどむしゃくしゃしたので30,000文字を超えたよ。

悪いのは担当さんだよ。

悪いのは担当さんだよ。

大事なことなので2回言ったよ。

予約受付中なので予約して買ってくれると嬉しいです。

その他店舗特典に関してはまだなにも言われてないので戦々恐々としている前回の店舗特典の締め切りが五日前で「お主?」となっていたことを根に持ってる古森でした。


また、コミカライズの1巻も発売決定しました。

合わせてよろしくお願いします。

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