和解した日の合間の雑談

 


「そういえば俺、リファナ嬢にずっと聞きたかった事があるんだよね。クールガン、悪いんだけど聞いてくれる?」

「はい? なんですか?」


 クールガンを手招きして、耳元でヒソヒソと質問内容を伝える。

 アレファルドたちには不審なものを見る目で見られたが、クールガンが怖いのか口は開かない。

 伝え終えるとクールガンにものすごく奇妙なものを見る目で見下ろされる。


「あの、フランお兄様……そのくらいご自分でお聞きになっても良いのでは?」

「んー、でもラナにリファナ嬢へ話しかけるの禁止されてるから、俺」

「んぐっ!」

「は、はあ、そうなんですか……分かりました」


 なんかラナから変な声が聞こえてきたけど気にしない。

 クールガンが「というわけで」と前置きして、リファナ嬢へ向き直る。


「お兄様から質問です。卒業パーティーの日にエラーナお義姉様が突き飛ばされるのを黙って見ていたのはなぜですか? あなたが止めてくだされば、エラーナお義姉様も翌日国外追放になんてならなかったかもしれないのに。との事です」


 そう、これずっと疑問だったんだよな。

 今日改めてリファナ嬢に会って話ているところを見て、そしてラナへ「王妃教育ってどうやるの」なんて聞くくらいには頭お花畑なりに常識はあるようなのに……。

 あの日はなぜ、アレファルドの暴挙を黙って見ていたのだろう?

 やっぱりラナの事を嫌いなのか?


「あ……じ、実はあの日、わたしウェルカムドリンクと間違えてお酒を飲んでしまって……記憶がないんです」

「「は?」」


 なんだとぅ?


「すみません……起きて歩いていたらしいんですけど、全然覚えていないんです! エラーナ様の事は三ヶ月後くらいに宰相様に言われて初めて知って……! アレファルド様に聞いたらもごもごされててはっきり教えてくれないし、スターレット様たちも……」


 サッ、と目を逸らすアレファルドと三馬鹿。

 ……あ、あー……そう、そういう……。

 これはウェルカムドリンクが酒だったのも深読みしてしまうな〜。


「…………。クールガン、リファナ嬢の事、よくよく見ていてくれないかしら?」

「え? エラーナお義姉様?」

「なんか、リファナ嬢をこの四人に任せていてはいけない気がするの……」

「…………。なんとなくそんな気がするので謹んでお受けいたします」

「な! どういう事だ!」

「そういう事よ!」


 ラナの表情は盛大に引きつっていたが、その気持ちはとてもよく分かってしまったのでクールガンにはとても頑張ってもらいたいと思いました。

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