第2話 「出会い」

初めての冬が来る。


今度はどれくらいここに居れるのだろうかという不安と少しの期待を心の奥にしまって学校へと急いだ。


いつもの十字路にさしかかり、信号を待っていると向かいの横断歩道で待っている少女が目に映った。


その瞬間にはもうすでに僕の心は彼女のものになっていたんだろう。


こんな時に限って信号待ちの時間が短く感じる。


人間はこの一瞬で本当にたくさんのことを考える。


明日から彼女とは無縁の生活が待っていて、しばらく時間が経てばまた次の出会いが待っている。


一通りのことを考え終えて横断歩道を渡り始める。


徐々に縮まった後にまた開いていく距離。


背中に彼女を感じながらしばらく歩き、抑えきれず、1度だけ振り返った。


同じタイミングに彼女が振り返った。


気まずい時間が一瞬だけ僕たちの間を駆け抜け、また正面を向いて歩き始めた。


まだ見ているのだろうか、気になる気持ちをぐっとこらえ、速くなった心臓の鼓動と同じテンポで歩みを進めた。



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