かなしき恋に「さだめ」あり

singnal

第1話 「運命」

運命とは人間の意志をこえたところで人間の行為や存在を支配している力。


「へぇ~~。」つい言葉に出てしまった。


「おい、やまだぁ!この問題解いてみろ。」


授業に集中せず携帯を触っていた僕にすかさず気付いて当てる。


僕は自分で言うのも自慢みたいになるのだが顔は整っているし背も高い。


当然モテる。


そんな僕にも唯一欠点があった。


そう、勉強が全くできないのだ。


小学校の時、割合を習ってから算数というものが一気に自分から遠くかけ離れたものに思えるようになってしまった。


大人になってから何の武器にもならない容姿だけを武器に今日も生きる。


そう友人に揶揄されることもしばしばあった。


実はこの学校は人生で5つ目の学校だ。


典型的な転勤族の子どもに生まれた僕は、学校を放浪するかのようにいろいろな学校を経験してきた。


幸い、持ち前の容姿と性格で友達はできたが、できてはすぐにお別れ。


おかげで「さよなら」という言葉に特別感を抱くことがなくなってしまった。


当然まともな恋愛もしてきていない。


相手のことを深く知ることができる「時間」が、僕にはない。


その代わりに「運命」を感じ取る力が人よりも優れているように思う。


みなさんは「運命」を信じるだろうか?


あなたが生まれ落ちた場所も、ここまでの人生も、

そうなることが確約されていたのだろうか。


ここには僕に用意された「運命」を書き記しておきたいと思う。

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