第3話
テレビのニュース番組に、
テーブルの上に置いてあったリモコンに手を伸ばし、何度か番組のチャンネルを変えてみるが、同じ内容の放送ばかりだった。買ってもらったばかりのブランド物のショルダーバッグからピンク色のスマートフォンを取り出す。ロックを解除し、震える指先でメッセージアプリを開き、〝夏彦さん〟の名前をタップする。一番新しいメッセージは、こちらから送ったものが最後になっているが、既読にはなっていた。
あの人が死んだなんて嘘だ、と思っても、次にテレビに映し出されたのは最愛の人の顔写真で、芳枝は
『千葉葵子容疑者の話によると、〝夫は浮気をしていた、私だけを見ていてほしかった〟とのことです。続報が入り次第、お伝えします』
わたしの
「わたしの所為じゃない……わたしは、悪くないもの……」
何度も何度も芳枝は呟く。耳を塞ぎ目を閉じると、真っ暗になりテレビの音も聞こえなくなった。心の中で何度も、わたしの所為じゃない、と繰り返した。
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