後の領主、5連続未帰還の理由を知る
「それでは申し訳ありませんが、二人のご指導をお願いします」
「任せてください」
コットンさんとモニカのランク上げは早馬車でやって来たベランさんとメイミーに任せた。
彼らなら問題なく指導できることだろう。
俺が別行動と知ったメイミーは悲しい目を向けてきた。
「えー? ごしゅじんさま、行っちゃうんですか?」
「ちょっと用事があるからな。メイミーはコットンさんの弓の指導役を頼んだぞ。期待してるからな」
「はい! がんばります!」
俺はというとラネットさんと会議室で打ち合わせをする。
コットンさんの5連続未帰還の依頼がわかったとのことだ。
「どうやら、そこらじゅうのダンジョンでモンスターの異常発生が起こってるらしいの」
「異常発生なら俺も遭遇しましたよ」
メイミーと初依頼をした時のことだ。
依頼書と違いケーブフライが大発生していて大変な目に遭った。
「どうやらコットンが窓口となって駆除依頼を発行したんだけど、その依頼で未帰還になったみたいね」
「未帰還となった冒険者たちはソロで潜ったんですか?」
あの数の敵はソロで挑むのは無謀だ。
ソロで討伐するのならばDランクの冒険者だとかなり辛いことになるだろう。
最低限Cランクは欲しいところだ。
「いや、最低条件はDランクの6人パーティーね」
大量発生でもDランクの冒険者が6人もいれば全滅することもないだろう。
でもラネットさんの話だとCランクの3人組も未帰還となっているそうだ。
さすがにCランクともなればソロでも行けるとは思うんだけどな……。
少し気になる。
「戦力的にはなんの問題もなかったみたいなのよね。5連続未帰還だからコットンが依頼票を発行するときに受注条件でなにか大きなミスをしたんじゃないかと思ったけど、私の思い違いだったみたいね」
現地にいた敵の数が予想よりもずっと多かったのかもしれないな。
範囲攻撃が出来る魔法使いがいないと非常につらい。
実際、俺が受けた依頼も敵が予想以上に多くてメイミーとの二人だけでは処理しきれなくて死にそうになったし。
可能性としては非常に高そうだ。
ラネットさんの心配はそれ以外にもまだあるようだ。
「サテラ周辺の初期ダンジョン全てでモンスターの大量発生が起きてるのも気になるわ」
「初期ダンジョン全てで、ですか?」
「コットンが発行した依頼票の依頼場所を調べたので間違いないのよ」
初期ダンジョンは敵が弱いので初心者の狩場となっている。
そんなダンジョンに大量発生が起これば、生き延びる
ここは早急に討伐隊を編成して鎮圧すべきである。
今まではこんなことも起きてなかったし、なにかの異変が起きているのかもしれない。
「初期ダンジョン全てでモンスターの大量発生が起こっていたとなるとなにかありそうですね」
モンスターの大量発生は珍しいことではないが、すべての初期ダンジョンで起こっているとなるとなにか理由がありそうだ。
「私もそう思うの。そこで私と組んでダンジョンに潜って調べて欲しいの」
「いや、でも……。コットンさんとモニカのランク上げがあるのでそれだけで手がいっぱいで敵の大量発生を調べている暇なんてないですよ」
「あの二人ならベランさんに任せれば大丈夫。それにその期限はバルトさんが決めたものと違って私が決めたものだから気にしなくていいわよ」
ということで俺たちはダンジョンに乗り込むことにした。
*
まずはバニラのダンジョンからだ。
前にメイミーと潜ったダンジョンで、上層部は鉱山になってるぐらいで敵はかなり弱い。
そんな初心者向けのダンジョンで死にそうになった中年一歩手前の熟練冒険者がいたらしいが誰だかは忘れた。
依頼書によればケーブフライの大量発生の事。
でも俺たちは目を疑った。
そこにいたのはアンデッドフライ。
LV30相当のかなりの強敵であった。
しかも100匹近い群れで……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます