お題作品の匣

# ひとやすみ

　これは、お題じゃないお題です。

ただのひとやすみ短編。

　原稿用紙　枚分くらいです……。

あわてない、……ひとやすみ、ひとやすみです。

「飴ちゃんって、知ってる」

　関東、東北、北海道、九州、沖縄の読者の方ならば、きっと『飴ちゃんとは？』と、困惑したかもしれません。

　大阪では、飴のことを飴ちゃんと呼ぶのです。

もしくは、あめちゃん、アメちゃんなのです。

　私はこれが方言だとは、全く思わなかった。

すべての世界で通じると思っていた。

　子供の頃から飴ちゃんと、呼んでいおりました。

　しかし、『飴ちゃんってなに？』ということを聞かれて、ああ、飴ちゃんって大阪だけなんだねえと、驚いたものです。

　飴ちゃんは、綺麗なラッピング紙に包まれていたり、カンカン(つまり缶のこと)に入っていたり、瓶詰めにされていたりと様々です。

　私は、彼女たちの輝きが、まるで宝石のようで大好きなんです、いちご、ぶどう、れもん、はっか(ちょっとからい)、りんご、めろん……？

　ハイカラなもので、炭酸水のシュワシュワを再現した飴ちゃんまで存在するようです。

　私は、昔からサクマ式ドロップスのカンカンに入った飴ちゃんが好きです。

　「疲れたり、悲しくなったりしたらね、ここからひとつだけ食べてごらんよ、きっと、幸せになれるよ、元気が出るよ、つらいときは……ね、がんばりすぎない、無理をしすぎないほうがいいのよ。」

　私の大好きな人は、曽祖母でした。

言ノ葉たちは、彼女から受け継いだ宝物です。

　からころん、からろん、今日はどの飴ちゃんが、出てくるのでしょうか？

　それは、ひとふるいする魔法であり、未知なることへのお楽しみなのです。