# てのひらのうえで眠る
いつも泣きそうになり、震えてしまうのですが、そういう時は、なぜか、となりに彼女が、どかどかっと布団を
彼女は、そのあとすぐに、布団に沈み込みます。
それくらいに、夜がどうしても怖い、眠れないことが、たまらなく、怖くて、怖くて、ハッとする、ああ、ダメです。
やさしい声が、頭の上から
「ゆりかごの歌を歌いますわね」
「いいよ、子供じゃないんだ」
僕は、少しだけ、すねてみました。
「いいんですのよ、気にしないでね」
彼女の名前は
きつい性格に見えて、案外、僕には優しくしてくださり、いつも甘豆をくれたり、気にかけてくれるのです。
「姉のように、思ってくれてもええんよ」
若干の
「眠れないんやろ」
「参りました、そうなんです、ほら、そこを見てくださいよ、そうです、そこ、なんだか、
僕は、口走ってしまった。
悪い
「もう、しゃあない子やな」
てのひらのを目蓋にかざしてくれ、するりと、やさしい
「目、閉じたら、みえへんやろ」
「うん、見えない」
「よし」という声が聞こえて、「そのままにするんよ」と、聞こえてきます。
「さ、手、握ったるからな」
ぎゅっと大きくも、小さくもない、丁度、程よい大きさのマシュマロみたいな手が自分のてのひらを包み込みます。
彼女のてのひらのうえで、ちいさく、寝返りしてみると、ぴくりと、
これは、きっと、彼女のやさしさ。
「こもりうた、やっぱ……歌ったるよ」
「ねね……、お歌は……いいのです」
それから、ぼんやりとうとうととしていると、やはり、頭の上から、ゆりかごの歌をお歌いになる彼女の歌声をぼんやりと、うわのそらで聞いておりました。
いつの間にか、彼女のてのひらのうえでねむっておりました。
「おやすみなさい、
彼女の声は、こぼれる月夜に溶けてゆきました。
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