話が動かない話

 注:本稿は特定の誰かの作品や作風を貶めたり揶揄したりする意図は一切ありませんし、書き方の手法として私自身もまれに使う事があります。あくまで創作論の一つとしてご笑覧下さい。



 私の作品は1話あたりの文字数が平均5500文字前後と比較的長いです。それは『1エピソードの中にも起承転結があるべき』との信条に拠るもので、ある程度落ちた所、あるいは次回に大きく引く所を境に1エピソードを終わらせる為です。


 他の方の作品を読んでいて「えっ? そんな半端な所で切っちゃうの?」とか「キャラ2人が話しているだけでストーリー進んで無くない?」とか思ってしまう事が結構あります。


 特に会話だけで1エピソードまるまる使う場合、どうでもいい雑談の細かい部分まで描写している作者さんが割といます。


 気持ちは分かります。その情景を思い浮かべて可愛い子供キャラたちの喜ぶ様、悲しむ様を仔細に描写したい! と。

 加えて書き手から見ても、会話を編集するよりもノーカットで全体を載せた方が、流れが分かって書きやすいし、文字数も稼げるって言うのもあるでしょう。


 私の親族にも1人、全くオリジナリティの無いクソつまらん異世界転生ものを書いている奴がいます。そいつがモロにそのパターンで、キャラ達の会話の内容をいちいち細っかく書くんですわ。



 でも私の場合、読者視点で見たら「ゴチャゴチャ喋ってないで先に進めや」って思っちゃうんですよね。

「このエピソード2000文字のあらすじが『AとBとCが話しながら50メートル歩いた』だけで終わっちゃイカンだろ」とツッコんでしまうのです。


 もちろん会話の端々に後々の伏線を仕込んだりとかのテクニックはアリだと思いますが、だとしてもあまりに扱いが小さいと、後から伏線だと分かった時に「こんな細かい所見てねーよ」と言われるのがオチですよね。



 小説は生き物です。ひとつ所に置いたままネタを与えるだけではブクブクと肥え太り不細工になります。逆に捻って叩いて動き回らせ、鍛え上げた方が、キレの良いアクションを見せてくれる物と私は思っています。


『描写の取捨選択』を常々意識して書いていきたいなぁ、と思う作者でした。

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