ラウンド14 放っておけない

 あの日から約2週間ほどが経過した。


 …。


 あの日からアオイは屋上に来なくなった。


 グローブをはめて、フェンスに背中を預けて座り込む。


 ふと、空を眺めた。


 いつの間にか静かになってしまった日常。逆に言えば平和になったと言えるかもしれないけど、その平和は、なんて言うか虚しくて、つまらなかった。


 桜井「空が青いなー」


 あおい…か。


 よっこいしょと立ち上がる。グローブを外すとリュックにしまい歩き出した。


 


 「なぁ、いいだろ?」


 廊下を歩いていると、そんな男の声が聞こえた。


 あぁ、なんかチンピラがナンパでもしてのか。


 なんて思いつつスルーしようとしたその瞬間。


 ?「…いやです」


 妙に聞き覚えのある声に足を止めた。


 その声がした教室のドアをそおっと開ける。


 俺は目を見開いた。


 アオイだ。


    「えー、なんでよ、最近あの先輩っとこ行ってないっしょ? つーか、お前あの先輩と別れたって話じゃん?」


 アオイ「…付き合ってないです」


    「ならさー」


 男はそう声を上げると、アオイの肩に手を乗せる。


 アオイの体は嫌そうに震えていた。


    「俺と付き合わね?」


 アオイ「ごめんなさい…」


 顔を下に向け、ボソリと呟く。


    「ッチ、あーそーかよ、んじゃ仕方ねーか…」


 すると次の瞬間、男は葵の腕を掴むと強引に引き寄せ、キスをした。


 アオイ「んー!」


 嫌そうな声を上げ、腕を振り払おうとするが、力負けしてしまう。


 もう片方の手はスカートの中に入っていた。


    「ふぅ…まぁ、無理やり俺の女になってもらうわ」


 アオイ「ふざけ…んっ…」


    「へぇーここ弱いんだー。てかアオイちゃんエッチだねー、もう濡れてんの?」


 アオイ「こ、こんなことして…先生呼びますよ」


    「呼びたきゃ呼べばいいじゃん、ま、ここ普段だれも使わないからセンセーどころか生徒も居ないけどね」


 そう言って笑うと男はまた無理やりアオイにキスをした。


 ツゥーと、アオイの目から涙が流れる。


 …。


 …は?


 次の瞬間、


 俺はドアを蹴り破った。

 


 

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