ラウンド13 勝てなかった…

 

 ……。


 暗闇の中で声が聞こえた。


 ? 「アオイー!立て!」


 …。


 はっ…! そうだ!


 パッと目を覚ます。


 上体を起こして周りを見渡した。


 アオイ「…あれ?」


 おかしい、私はリングにいたはずなのに…。


 だけどここはどう見ても控え室で…。


 アオイ「あ…」


 思い出した…そうだ私…。




 あと一歩…あと一歩で勝てる!


 勝ったら私…先輩のカノジョになるんだ。


 そして次の瞬間だった。


 私のパンチにフックを被せる。


 あ…やば…。


 そこで私の記憶は途切れていた。


 立ち上がったベンチにもう一度ヘナリと座り込む。


 そして乾いた笑いが溢れた。


 アオイ「あはは…そっか私…」


 勝てなかったんだ…。


 すると頬に生暖かい水が流れた。目元を擦る。


 あれ…雨かな?でも部屋の中だし…雨なんて…。


 あぁ…もぅ、さいあくだ。


 

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