ラウンド11 歓声

 ? 「…先輩」


 アオイが上目遣いで俺を見つめる。


 桜井 「ん、どうした?」


 アオイ「…その…勇気をください…」


 昨日のアオイと打って変わって、ひどく萎縮している。


 その様子はまるでウサギみたいだ。


 はぁ…とため息を吐く。


 そして次の瞬間、俺はアオイの体に腕を回した。


 ピクリと動く背中をさする。


 桜井 「…勝ったらどこ行きたい?」


 ハッと息を吸って、少しするとアオイは笑う。


 アオイ「そーですね、ディズニーでも行きたいです」


 桜井 「お前がディズニーとか、致命的に似合ってねーな」


 アオイ「自分から聞いといて酷いです先輩…でも、約束ですからね」


 桜井 「あぁ、なら勝ってこい」


 腕を離すと、俺は拳を突き出す。


 それを見ると、ふふっ。と鼻を鳴らし拳をこつんとぶつけた。


 アオイ「はい! 行ってきます!」


 そして、アオイは歓声の中へと足を進めた。


 


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