よる
こめ おこめ
ぼくは
ぼくの体はいつのまにかふわふわとお空へとんでいた。
お空はまっくろ。でも大きなたてものの明かりがまぶしくてぜんぜんくらくないや。
ぼくのじゆうにうごける。こ~んな高いところ、こ~んなとおくまで。
きっとゆめの中なのかな?ぼくいがいの人がいないや。たのしいけどすこしさみしいな。
「あら、どうかしたの?」
わっ!びっくりした!
いつのまにか黒いふくのおねえさんがちかくにいてビックリ!
「驚かせちゃってごめんなさいね」
おねえさんはたのしそうにわらってる。
なんだか本にでてくるまじょみたいだ。
もしかしてまほうとかつかえるのかな?
「私は魔女じゃないわ。でも魔法は使えるわよ。そうね……こんなのはどうかしら?えい!」
おねえさんがゆびをふるといっぱい人がでてきた!すごいすごい!
もしかしてぼくのほしいものなんでもだせるのかな?
だったら大きなパンケーキ!それもシロップがいっぱいかかっててアイスもついてるやつ!
「簡単よ。それじゃいくわよ!えい!」
すごい!ぼくとおなじ大きさくらいのパンケーキがでてきた!
でもこんなにたべきれるかな……
「大丈夫よ。お腹いっぱいになったらこんな風に……えい!」
わっ!パンケーキがうごきだしておどってる!こんなの本でしかみたことないや!
「でもさっきのは大きすぎたわね。このくらいの大きさなら丁度いいかしら。えい!」
この大きさならぼくでもたべれそう!いただきまーす!
「ふふ。おいしい?」
おしいい!こんなのたべたことないや!
「他になにかある?あなた欲しいもの、やりたいこと、なんでも叶えてあげる!」
う~ん、そうだな……あっ!じゃあおねえさんとおさんぽしたい!
「そんなことでいいの?今なら空も飛べるしいろんな乗り物に乗れるのよ?」
うん!あっ、でもひとつだけおねがいがあって……
「なにかしら?」
て、つないでもいい?
「……!もちろんいいわよ。さ、行きましょ!」
ぼくとおねえさんはいろんなところをあるいた。いつものこうえん、がっこう、スーパー、ゆうえんちや海なんかもいけてたのしかったな。
「さ、次はどこに行こうかしら?」
まだいきたいところはいっぱいあるけど……
お空が明るくなって、まわりのたてものがなくなっていった。
「そっか。もう終わっちゃうのね」
おねえさんもさみしそうなかおをしてる。
「ねぇ、最後に私からお願いしてもいい?」
もちろん!
「ぎゅっと、抱きしめてもいい?」
ぼくがてを広げるとおねえさんがだきしめてくれた。
「ありがとう」
まわりがどんどん明るくなってなんにもみえなくなってきた。
ぼくもさいごに
「ありがと。ばいばい。おかあさん」
もうなにもみえない。
おでこに雨がおちたきがした。
目をあけるとぼくの知らないてんじょう。
「……!患者が目を覚ましました!」
なんだかいろんな人がいるな。みたいけど体があんまりうごかないや。
まだすこしねむいや。もういちど、おやすみなさい。
「本当によかったよ、お前が生きてて」
「おとうさん……そればっかりだよさっきから」
「だってな!電話で聞いたときは本当に……!」
「もうだいじょうぶだよ!」
おはなしができるようになってからおとうさんはずっとこんな。いっぱいしんぱいしてくれたのかな。
「あっ、そういえばゆめのなかでおかあさんにあったよ」
「母さんにか?」
「うん。しゃしんでしかみたことなかったけどぜったいおかあさんだった!」
「そっか……。母さんとなにしたんだ?」
「えっとね……」
ぼくはゆめの中でのおはなしをした。パンケーキをたべて、いろんなところにいって。
「遊園地か……最近行ってないな。よし!治ったら父さんとも遊園地に行くか!」
「ほんと⁈やくそくだよ!」
やった!だったらそこで大きなパンケーキもたべたいな!
おねがいしたらかってくれるかな……?
「…………。ごめんな」
おとうさんはかなしそうなかおしてる。
…………。
「だいじょうぶだよ。ぼくね、ゆめの中だったけど、ちゃんと、おかあさんがみててくれたこと、わかったから」
だからだいじょうぶ。それに……
「それにね、おとうさんもいるからね」
「……そうか。…………そうか。そうなんだな……!」
おとうさんがニッとわらった。
「よし!まずは遊園地だな!夏になったら海も行くか!」
「ほんと!たのしみ!」
またたのしみがふえた!ほかにもいきたいところはたっくさんあるし、どこにつれてってくれるんだろう?たのしみだな!
よる こめ おこめ @kosihikari3229
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