霜を踏み躙るもの11
「——————で、お前の言う通り地下まで来たわけだが」
「なんにも見つからなかったですね!」
「いやー、お約束的に地下かと思ったんですが……」
何処かに巧妙に隠されてるんでしょうか? 1階の床や壁は一通り調べてみたのですが、やはり見つかりません。とは言えこれでこのシナリオが終わりとも思えませんし、やはりどこかにシナリオの続きとなる何かがあると考えるのが妥当でしょう。
「ったく、そもそも地下室への入り口なんてベタなものホントにあんのか?」
「え、先輩を疑うんですか?」
「げ、悪かったって。謝るから真顔でこっちを見るのは勘弁してくれ、怖いから」
ラピスとチャッカマンさんが何やら戯れていますが、努めて無視し……ん? 入り・口なんてない?
「なるほど、そういう事ですか」
そう呟くと私は床に向けて全力で叩きつけを行いました。
響き渡る轟音。喋っていた2人がこちらを向き、一瞬の静寂が周囲を包みます。
「おいコロナ、いくら予想が外れたからって床に当たるのは——————」
——————ピシッ
チャッカマンさんが見当はずれの言葉を私にかけようとした瞬間、何かがひび割れるような音が床から聞こえました。
「考えてみれば当たり前のことです。私たちをここへ飛ばすことが出来るような人物にとって扉なんて意味あるのでしょうか?」
「どういうことですか、先輩?」
——————ピシッ、ピシッ
床のあげる悲鳴が次第に大きくなり始めます。
「オッカムの剃刀ってやつですね。複数の仮説がある場合には最も単純な仮説が真実である……つまり、地下に行く入り口なんて元から無かったんですよ」
次の瞬間、盛大な崩落音とともに床が崩壊しました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「~~~ペッペッ! てめえコロナ、こういうことするなら先に言え!」
「ふぎゅっ、先輩たすけてください~」
「まあまあ、いいじゃないですかっ、と。それよりアレ、如何にも怪しいものがありますよ」
瓦礫の隙間からラピスを引っ張り出しつつ地下空間の一角を指差します。
「秘密の実験施設、ってとこでしょうか」
「なんだあれ、ショゴスか……?」
「先輩のお仲間さんがいっぱいですね!」
そこには何やら見覚えのあるガラス筒とその中に入った大量のショゴスらしき肉片がズラリと並んでいました。
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