霜を踏み躙るもの5
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……
〇月×日
抑制剤の効果の低下を確認。投下量を増やすことにより対応
「胚」の定着を開始
〇月△日
右腕の肥大化及び顔面左の皮膚の高質化を確認
「胚」の定着は予定通り進行中
〇月□日
「胚」の定着が完了
「胚」による感染部の捕食を確認
×月〇日
「胚」が
(白紙の頁が続く)
あれは、あんなものは娘ではない
……
―――――――――――――――――――――――――――――
「んー、胚ねぇ……」
「……あっ、この漢字!」
「おいおい俺でも読めたぞ……」
「ラピスは漢字が苦手ですから多めに見てやって下さい。トーカ並なんです」
「お前らお互いに対して甘過ぎねぇ?」
「先輩ですから!」
「こんなに可愛いですから」
可愛いは正義!
とは言え流石に「胚」を読めないのはアレなのでトーカも交えて今度勉強会でも開きましょうか。
「で、お二人の方は?」
「はい! 私はこれを見つけました!」
これは……自由帳? もうその言葉の響きが懐かしいですね。
「中も見てみたんですけど、可愛い落書きがありましたよ」
「へぇ、見せてもらっても?」
「もっちろんです!」
どれどれ……んー?
「なんじゃこりゃ? というか可愛い……?」
「え、なんかつぶらな目で可愛くないですか?」
「いやぁ……? ってかコロナはどうしたんだ、いつもうるさいのに黙って」
「いちいち一言余計な人ですね、ちょっと気になることがあっただけです」
そう、なにせ見覚えがあるもので。
様々なクレヨンの混ざった色、大量の目、所々に見られる口らしき孔……この絵、もしかしなくてもショゴスでは?
「……これはショゴスへの対抗策を考えておいた方がいいかもですね」
「あ、やっぱこれショゴスか?」
「おそらく」
「じゃあ今のうちに倒す方法考えといたほうがいいですね!」
「それはそうなんだけど……」
対抗策ですか……控えめに言ってショゴスって最強なんですよね。このパーティ魔法型のプレイヤーいないですし。
「ところでチャッカマンさんは何か見つかりましたか?」
「いや、こっちは何もなかったぞ。ハズレだな」
「無能め」
「辛辣だな!?」
「じゃあ次の部屋行きましょうか」
「りょーかいですっ」
「……納得がいかねぇ」
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というわけで2つ目の部屋。鍵は閉まっていますが、壁の一部が損壊していてそこから入れます。とは言えここは特に調べることも無さそうです。何しろ部屋が瓦礫に埋もれているので。
「この部屋は……何もないでしょうね」
「天井が崩れちゃってますね!」
「流石に瓦礫漁りさせることはないだろうな」
私はそんなクソゲーしたくないですし、無いと信じましょう。
はい、では3つ目の部屋。トイレと洗面、お風呂ですね。1つ目の部屋で手にいれた鍵で中に入ります。
「お風呂きったないですね!」
「The・汚水って感じだね……チャッカマンさん」
「嫌だ」
「まだ何も言ってないでしょう」
即答で拒否されました。反抗期の子供ですか。
「どうせこの中漁れとか言うつもりだろ!」
「おや、良く分かりましたね。やってください」
「嫌だっつってんだろ!?」
「じゃあ女の子にやらせるんですか?」
「グッ……! ……しょうがねぇな」
フッフッフッ、話してみた感じ、チャッカマンさんは意外と紳士的なところがありますからね。きっと折れてくれると信じてました。
「ちくしょう、何で俺がこんな目に……」
「どうです、何かありましたか?」
「ちょっと待てよ……あった!」
チャッカマンさんが汚水から手を引き抜きます。
「また鍵ですね! これがあれば先に進めますね!」
「よかった、俺の苦労も報われるってもんだ」
「まぁ、栓を抜いてしまえばそれで良かったんですけどね」
「」
あ、スタン入りました。
ちなみにこのあと無事にチャッカマンさんは目覚めましたし、トイレには何も無かったです。
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