霜を踏み躙るもの4


「うーん、たぶんさっきのやつ……リトルマザーはレアエネミーですね。こうして歩いていても出会うのはただの肉醜塊だけですし」



「おう、そうだな。俺もタマ探しの時はちっこい方しか会わなかった」



「やはりですか」



「でっかいのはすごかったですね、疲れちゃいました!」



「へぇ、俺も戦ってみたかっ……わかったわかった、悪かったって」



全く、反省してください。



「さて、じゃあ本格的に探索を始めますか。チャッカマンさん、走り回った感じどんな構造でしたか?」



「んー、2階建てで各階に部屋が4つくらい、どの部屋も大した広さじゃないな。ただ、どうも間取りがおかしいところがあるから隠し通路でもあるのかも知れん」



「隠し通路! ワクワクする響きですね!」



「取り敢えず隠し通路は置いておきましょうか。先ずは1階の探索です」



「そうだな、隠し通路は何かありそうだし」



「私も好きなものは最後に食べるので!」



……うーん、ラピス、それはまたなんか違うと思う。兎も角、部屋を1つずつ回っていきましょうか。








うん、どうやら1階はここの部屋しか開いていないようですね。


ここは……子供部屋、でしょうか? 妙に可愛らしいデザインの内装ですし、これがあのお爺さんの私室だったらその、なんというかイヤです。



「あ、あのクマさん可愛いです!」



ラピスがベッドの枕元に置かれたテディベアを指差して言います。うん、多分君の方が可愛いよ。



「随分ボロボロの部屋だな。少なくとも20年は使ってなさそうだ」



「クトゥルフにおいての時間の概念はあまり信用できないですけどね」



クァチル・ウタヌスとかいますし。

と、テディベアに駆け寄って言ったラピスが何かに気づきます。



「あっ、このクマさん中に何か入ってますよ!」



ビリィイ!



「え"」



チャッカマンさんが凄い顔をします。



「ラピス、何かあった?」



「え"」



チャッカマンさんが更に凄まじい顔をします。なんですか、何か見つけたら取り敢えず確かめるでしょう。



「え、さっき可愛いとか言ってたのにそんなに躊躇いなく……お前もなんのリアクションもしないし……」



「……? でも手掛かりって大事ですよ?」



「そうですラピス、それでいいのです」



「あぁ、既にお前の教育洗脳を受けてるのね」



「ちょっと、人聞き悪いこと言わないでください」



全く、なんで私の回りの男性は皆さんこうなんでしょう?



「……? あ、鍵が入ってました!」



「やっぱりこうやって次の部屋を開けていく感じですか」



「まぁ、だろうな」



じゃあ次の部屋に……とはなりませんよね、はい。机、本棚、棚、クトゥルフ探索の鉄板が3つ揃っています。



「じゃあ私は本棚で」



「じゃあ私は机を探します!」



「残り物には福……このゲームでそんなのあるかねぇ?」



「文句あるんですか?」



「いえありません」



「よろしい」



さて、何があるんでしょうか。








「成果発表~」



「イエーイ!」



「え、なんでそんなテンション高いのおまえら」



「まずは私から。私は日記とファイルを見つけました」



「無視か」



無視だ。

さて、まず日記帳。こちらは特に情報はありません。前頁が破り取られていたからです。が、問題はこちらです。



「このファイル、どうも実の娘に対する実験の記録みたいなんですよね」



さ~て、お爺さん。あなたここでいったい何をしてたんでしょうねぇ……?

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