第36話





「クラン名、皆さんは何か意見はありますか?」



「はいっ!」



予想はしていましたが、やはりラピスからですか。



「はい、ラピス」



「コロナリアがいいと思います!」



「私が恥ずかしいから却下」



「なんと!?」



クラン名に自分のPL名とかどんな羞恥プレイですか。



「はいっ!」



「はい、トーカ」



これも予想通り。まずは元気2人組だと思ってました。



「お姉ちゃんと愉快な仲間達!」



「皆さん、何か意見ありますか?」



「スルー!?」



当たり前でしょう。元気2人組が最初なのは予想通り、役に立たないのも予想通りです。



「……テケリ・リーダー、とか」



うーん、悪くない、悪くないんですが……



「流石に私中心過ぎない?」



「……驚いた、コロナが他の人のことを、考えるなんて」



はっ倒すぞこの野郎。



「喧嘩なら言い値で買うぞ、お?」



「……そう言うコロナこそ、意見」



ぐ、誤魔化しおってからに。

クラン名、クラン名ねぇ……。


CoC……呼び声……深淵……よし。



「《深淵より(デ・プロフンディス)》なんてどうでしょうか?」



「俺たち意見は無しか……まぁいいや、聖書だっけ?」



「えぇ、旧約聖書ラテン語訳『詩篇』第129の冒頭の一節です」



「え、怖。なんで覚えてんの? モ、コロナってキリスト教徒だったのか?」



ぺぺさんは何を言ってるんでしょう?



「無神論者ですが? 新・旧約聖書は小4の時に読んだだけです」



「「えぇ……」」



「流石先輩です!」



「まぁ、お姉ちゃんだしね……」



「……2人とも、早く慣れる」



世界一読まれてる本です、読んでいて当たり前ですし、読んだなら知ってて当然でしょうに。



「それで反対、もしくは別案がある方は居ますか?」



……なさそうですね。



「ではクラン『深淵より』ということで。……それで、クラン結成はどうすれば?」



「え、お姉ちゃんアプデ確認してないの?」



「アプデ情報なんてほとんど確認してないけど?」



「コロナ、それはちょっとどうなのさ……」



「おい、本当にコイツがクランリーダーで良かったんだろうな!?」



「当たり前です! ぺぺさんは何を言ってるんですか?」



「……私も、不安になってきた」



「マイカさんまで!?」



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「……最後に、これに同意して、終わり」



「はい、同意っと」





『クラン「深淵より」が結成されました。クランリーダーはコロナ、クランベースは未設定です』




よし、ちゃんと結成出来たみたいですね。



「このクランベースってのは何ですか?」



「拠点だよ。人数少ないしなくていいんじゃない?」



「そうですね、その方が動きやすいですし」



というわけで……



「クラン『深淵より』、始動です」



「「「おぉー! ……って、あれ?」」」



元気2人組とぺぺさんの声が響き渡りました。





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