第37話





さて、クランも結成したことですし、今後の活動方針を決めましょう。


取り敢えず目下の目標はエイブラハム討伐。となるとやはりレベリングが1番ですね。

あとは……エイブラハムを見てない人は1度見ておいた方がいいかもです。私は偶然発狂しませんでしたが、初見だと発狂する可能性が高いですし。



「……ということで、まだエイブラハムを見てない人ってぺぺさん以外にいますか?」



「俺も見てないよ」



ロンチーノさんだけですか。

トーカとマイカはいつ見たんでしょう?



「……ロンチーノが、いない時に、私とトーカとラピスの3人で、いった」



「俺も行くつもりだったんだけど、仕事入ったんだよね」



ならぺぺさんとロンチーノさんはエイブラハム、ラピスとトーカ、マイカはレベリングですね。

問題はレベリングが不可能な私ですが……。


んー、とりあえずはこうしましょう。



「じゃあ、ラピスとトーカとマイカは引き続きレベリング、ぺぺさんとロンチーノさんはエイブラハムを見に行って私はその付き添いってことでどうでしょう?」



「わっかりました!」



ラピスが元気に返事をしてくれます。してくれるのは良いんですが……今は意見を求めてるのであってこれで確定とは限りませんよ?



「お姉ちゃんは付き添いなんだ?」



「どうせレベリングもできないし、エイブラハムについてもう少し調べたいからね」



前回と違い肉盾もありますしね。



「おい、今すげぇ不穏なこと考えなかったか?」



「背筋がぞっとしたんだけど……」



「いいえ、何も?」



なんて察しのいい。


ともあれこれで行動方針は固まりました。各自行動に移るとしましょう。



「では1週間後のXデーまで各自すべきことをしてください。解散!」




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


解散後、私はぺぺさんとロンチーノさんを伴って再びエイブラハムのいる穴……仮称:ラボにやってきました。



「しっかしよくこんな場所見つけたな?」



ぺぺさんが私の方を見て感心したように行ってきます。さては、勘違いしてますね?



「見つけたのは私じゃなくてラピスですよ。エイブラハムの落し子の出現位置等から割り出したそうです」



「はぁ!? あいつそんなに頭いいのか?」



あー。ラピスはあんまりぺぺさんとロンチーノさんの前で披露したことなかったですかね。



「ラピスには並列思考と人心掌握術を教えてありますからね。エイブラハムの出現場所等を見てプログラミングの癖から割り出したんでしょう」



ラピスは私の教えた技術を矢鱈と使いたがるんですよね。とりあえず何かあったらひたすら使おうと試みている気がします。まぁ、それが今回は良い方に出た形ですね。


ちなみに悪い方に出たのは、VRで並列思考術を使おうとして私と同じ末路を辿った時です。自嘲気味に「お揃いだね。」と言ったら何故か喜んでいたのを覚えています。



「え、ラピスってそんなに化け物だったの?というか教えたってことは……」



「えぇ、私もできますよ?」



「……類は友を呼ぶ、か」



「おい、それだと俺たちまで巻き込まれるだろうが」



巻き込まれるとはなんですか。失礼ですね、まったく。



「はいはい、変なこと言ってないで入りますよ」



「「へーい」」













通路の途中の中ボス? のようなものを倒した私達は、エイブラハムのいる部屋の前にいます。

レベル1とは言え流石はプロゲーマー、中ボス(仮)相手にも引けは取っていませんでした。



「とりあえず、俺たちが先に入って見る、ってことで良いの?」



「えぇ、私の実験に巻き込んでしまっては申し訳ないですしね」



まぁ、実際はこの2人相手ならそこまで申し訳なくもないので巻き込んでも構いませんが……。



「それはごめんだ。んじゃロンチーノ、行くか」



「そうだな」



「見て来いカルロ」



「「やめろ」」




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


数分後、2人の絶叫が響き渡りました。

これは発狂しましたかね……。



「さて、私も行くとしましょう」



そう言って私はゴアさんに貰った「金属製のボトル」を手に取りました。













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