第35話





「さて、これで目出度く討伐メンバーが揃いましたね」



「俺に対する暴言はスルーか」



「揃いましたね」



「スルーか」



ぺぺさんが何か言っています。



「ぺぺさんは本当に茶々を入れるのが好きですねぇ」



「お前にだけは言われたくないな」



「……コロナ、一回、大人しくする」



解せぬ。



「ぺぺ、取り敢えず初対面の相手もいるんだから自己紹介しなよ」



「ん? あぁ、そうだな。俺はぺぺ、リアルだとプロゲーマーをしてる。種族はチョーチョー人、よろしくな」



「……ん。マイカ、種族は重人。コロナ達のリアフレ。よろしく」



本題であるマイカとぺぺさんの顔合わせは終わりましたが、この後はどうするのでしょう?


と、トーカが愕然とした顔で私に聞いてきます。



「お、お姉ちゃん、マイカ先輩、なんでプロゲーマー相手に何もリアクションないの?」



「さぁ?」



「……コロナといたら、この程度のことで、驚かない」



何ですか私がトラブルメーカーみたいに。

何を当たり前のことを、と言った雰囲気のマイカですが、マイカ本人も大概トラブル メーカーです。

ついこの間もパッシブオンリーなんて訳の分からないことをしたばかりですしね。



「私はお姉ちゃんと一緒にいるけど驚きましたよ?」



「……精進、あるのみ」



「私はコロナさんのことならなんでも受け入れられます!」



ラピス、その発言はちょっと怖いんですが。



「っと、そうでした! 1つ提案があるんです!」



私の方を見ながら戯言をのたまっていたラピスでしたが、何かを思い出したのか他メンバーに向けて1つの提案をしました。



「アップデートでクランシステムが追加されましたし、ここにいる6人でクラン結成しませんか?」



クランですか……いいかもしれませんね。エイブラハム討伐後も、このメンバーで遊ぶことは多いでしょうし。



「私は賛成ですけど、皆さんはどうですか?」



「……私も、賛成」



「お姉ちゃんが入るなら私も入るよ!」



まぁ、この2人は賛成すると思っていました。

問題はプロゲーマーと言う枷のある2人ですが……



「俺たちも参加するよ。ぺぺ、いいよね?」



「あぁ、別に仕事に支障はでないだろ。ノルマとか無いよな?」



「もちろんです!」



……無事賛成が得られたようですね。

そうなるとクラン名とクランリーダーを決める必要があります。



「クラン名はどうします?」



「クランリーダーが決めるのでいいんじゃない? 面倒だし」



ロンチーノさんがそう言うと、他のメンバーも頷きます。



「んじゃあクランリーダーは……投票?」



「……ジャンケンで、負けた人」



「それだとマイカが有利だから却下ね」



「……むう」



マイカの動体視力は異常です。野球部が目一杯回転をかけて投げたボールに書かれた文字を読める程度には。

おそらく、マイカじゃなければ実質DEX:108、AGI:108のキャラなんて使えなかったでしょう。



「じゃあ、せーのでリーダーが良いと思う人に指を差すってことでどうでしょうか!」



「いいんじゃない?」



「……仕方ない」



「私もおっけー!」



「いいんじゃない?」



「俺も異論はないぜ」



満場一致ですね。1人不満げな人がいますが。



「じゃあいきますよ? せーのっ!」



ほい。


私→マイカ


マイカ→私


トーカ→私


ラピス→私


ロンチーノさん→ラピス


ぺぺさん→ロンチーノさん



「はい、先輩に決定です!」



マジですか。



「え、正直コロナがリーダーとか不安しかないんだけど……」



「だよなぁ……」



「……2人とも、分かってない」



「お姉ちゃんが人の下についてうまくいくわけないです。フォロワーシップ皆無ですから」



「……だったら上に据えた方が、まし」



……最近よく感じるんですが、私の扱いが酷くありませんか? 特にマイカ、「まし」ってなんですか「まし」って。



「たしかに一理あるな」



「そう言われればって感じだが……ラピス、お前もか?」



「? 私がコロナさん以外を選ぶわけありません!」



「お、おう。そうだな。……そうだな?」



ラピスは相変わらずなのでスルーです。

それはそうとクラン名ですか……。




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