第1回突発オフ会1




目を覚ましたゴアさんに謝罪をした後フレンド登録をして別れた私は、中央広場で例の仮面の説明欄を見ていました。






────────────────


白無垢の仮面


・装備:頭


・VIT:0


・効果:装備解除不可


・効果:一定以下の狂気の影響を任意に遮断する


・効果:[条件未達成]


────────────────





アンブロシウスさんに貰ったこの仮面、装備すると溶けるように顔に吸い込まれていきました。

しかし、装備欄に表記がある以上装備はされているのでしょう。

そしてこの「任意に遮断」の部分。これのおかげで黄の印を出したり消したりできるようになりました。

顔がキズモノじゃ無くなって若干ホッとしています。



「さて、と」



随分と時間も経ってしまいましたし、ログアウトするとしましょうか。部活を終えた飢餓の獣(十華)が暴れ出しかねませんからね。


メニューを呼び出し、ログアウトボタンを…



「あ、あの、すっすみません……」



「はい?」



どうやらまだログアウトはさせて貰えないようです。


声をかけてきたのは私よりも年下であろう重人の少女。おや?この顔は……



「もしかして、瑠璃?」



「! はいっ、そうです! 先輩……ですよね?」



本名を出すため声を落として尋ねたらところ、予想通りの答えが返ってきました。



「うん、こっちじゃコロナって名前だからよろしくね?」



「はいっ! 私はラピスっていいます!」



この子は私の後輩の灩 瑠璃。

2つ下の中学3年生で少しコミュ障気味の子です。

友人の前ではハキハキとした子なのですが、赤の他人の前なんかだとほとんど話せなくなってしまいます。

私と十華、それにゲーム仲間の鷹之芸さんと爪上さんくらいしか友人がおらず、殊更私に懐いてくれています。

懐いてくれているのは嬉しいのですが……同学年の友人も作るべきではないかと心配です。

ちなみに、本人に懇願されたため瑠璃に対しては呼び捨て且つタメ口です。



「先輩、今時間大丈夫ですか?」



「あー、ごめんね? 妹が帰ってくるからもうログアウトしちゃうんだ。」



「そうですか……。あうぅぅ」



ぐっ、なんだかとても悪いことをした気分になってきました。

……そうですね。



「ラピスはこの後リアルで用事とかある? ご両親の許可がいただけるならウチで夕食を……「行きます!」



早っ。



「行かせていただきます! ではっ!」



「あ、ちょっ……」



行ってしまいました。ウチの場所、知らないと思うんですが大丈夫なんでしょうか?


……とりあえずログアウトしましょう。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ログアウトしてリビングに行くと、丁度十華が帰ってきたところでした。



「おかえり」



「あ、お姉ちゃんただいま。今日のご飯は!?」



「まだ作ってない。急遽瑠璃が来て一緒に食べることになったからよろしくね?」



「え、瑠璃ちゃん来るの? やたっ!」



十華は賑やかなのが好きですからね。お客さんが来ると大体テンションが上がります。

……犬か何かかと、若干思わなくもないですが胸の奥にしまっておきましょう。



「さっきモンスタ内で会って約束したの。けど、ウチの場所教えるの忘れたんだよね……」



そう言って瑠璃に連絡しようタブレットを手に取った私に、十華はよく分からないといった顔をします。



「ん? 瑠璃ちゃんはお姉ちゃんが大好きだから大丈夫だと思うよ?」



はて? 因果関係がよく分からないのですが……。



「どういうこと?」



「え、だって瑠璃ちゃんはお姉ちゃんの跡を……あー、いいや。何でもない。」



「?」



「とにかく大丈夫だから、ね?」



まぁ、十華がそう言うなら待っていますが……。


っと、タブレットにメールが来ました。やっぱり場所がわからなかったんでしょうか?


────────────────


件名:突撃! お前の晩御飯

差出人:ぺぺ

宛先:モネ

本文:俺も家凸したいから今から蓮と一緒に行ってもいい?


────────────────


はい? あのすっとこどっこいはホウレンソウも知らないのでしょうか?


……まぁ、別に今更2人増えてもそこまで気にしませんが。


────────────────


件名:re:突撃! お前の晩御飯

差出人:モネ

宛先:ぺぺ

本文:貸し1。


────────────────


こうして、何故か我が家に私たち姉妹と瑠璃、そしてぺぺロンチーノコンビが揃うことになりました。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る