第21話




気がつくと私はキャラメイクルームにいました。一応、ここだけならログインしていられるようですが……まぁ、意味はないですね。というか、デスペナ10倍とは?

前回の死亡から変わったのはドレス、アミュレット、叢雲。……まぁ、どう考えてもヌトセ=カームブレのアミュレットが怪しいですよね。


さっさとログアウトしてしまおうとメニュー画面を開いていると、突然目の前に男性……? と思しき影が現れました。

体つきからして恐らく男性なのですが、顔が認識できません。なにかのスキルか魔法でしょうか?



「忌々しいものをつけているな、貴様」



「?」



「そのアミュレットのことだ」



「! 何か知ってるんですか?」



「ヌトセ=カームブレのアミュレット……旧支配者と我々外なる神、そしてその眷族からの影響を阻害する能力がある。ダウングレードされて完全遮断とまではいっていないのが幸いだったな」



ダウングレードされてたから幸い? はて?



「もしもダウングレードされていなかったら、貴様は死亡しても蘇生できなかったぞ」



「……マジですか」



ランキング報酬は酷いものばかりだとは思っていましたが、ここまでの地雷を押し付けられるとは。というか……



「つまり、ダウングレードだったから蘇生まで時間がかかる程度で済んだと?」



「そういうことだ。貴様はそれをつけている限り旧支配者・外なる神とその眷族から影響を受けづらい代わりに、蘇生時のデメリットが増えインベントリが縮小する」



インベントリもですか……。というか、まさかこの2つって……? え、そういうことなんでしょうか?



「じゃあな」



「あ、せめて名前だけ聞かせてください!」



「そうだな……庭師だ。よろしくはしなくていい」



流行ってるんでしょうか?


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


今度こそログアウトを終え、現実に意識を戻します。



「なんか、このゲーム始めてから地雷を抱えてばっかりな気がします」



何かに憑かれてるんでしょうか? 悪霊退散!



「ただいまー! ってお姉ちゃんはゲーム中かな?」



どうやら十華が部活から帰ったようです。出迎えるとしましょう。



「おかえりー」



「あれ? ログインしてなかったんだ?」



「デスペナ中」



「え!? お姉ちゃんってキルされることあるの!?」



「ドジって自殺しちゃった」



今のところ死亡理由が永久不孝さんと自殺……ハードな死因です。



「お姉ちゃんがドジっ子にクラスチェンジした……」



「因みにデスペナ10倍だった」



「え!? 自殺者に厳しくない!?」



「違う違う、ちょっと装備の関係で、ね?」



取り敢えずアミュレットはしばらくは封印ですね。旧支配者・外なる神と戦う機会なんてそうそうないでしょう。


……ないですよね?



「……もしかしてイベント報酬?」



「そうだよ悪いか」



「運営、酷いなぁ……」



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